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「だが公約にした以上女子選手の起用を実現しなくてはならない。手っ取り早く女子選手をチームに組み込む、そうなった時に監督が選手に求めるのはフィジカルでも何でもない──どれだけ賄賂を積めるか、だ」
管理サッカーをするだけならば実力が伴わずとも、勝敗指示の通りに試合を演じる事ができれば極論誰だっていい。
実力のない女子選手だろうが、金を積んだ男子選手だろうが、関係なく
そうなれば成績の為に、金銭のやり取りが今以上に激化するだろう。真の実力者は本当のサッカーをする機会すら失い、スポーツとしてのサッカーは完全に死ぬ。
「雷門が仮にホーリーロードを優勝したとしても、お前の姿に感銘を受けた者がイシドシュウジに票を入れ、そして奴が当選してしまえば革命は失敗に終わるんだ」
「それは……」
「一番の悲劇は、何も雷門が負けて我々がサッカー界から排除される事じゃない。見せかけの平等の為に男子サッカーがお前と心中する事だ」
「……」
「改めて聞こう反田典子。お前はこの革命にどう関わる？ 」
私が喋り出すのをこの場にいる全員が固唾を飲んで見守っている。
「……私は、……ぶっちゃけちゃうと革命とか、急に言われても……どうでもいいです。だって、私はフィフスセクターのシードになる事でやっと、皆とサッカーできる立場だから……」
「そうだな。お前はシードになる条件でホーリーロードに出場できていると聞いた。イシドシュウジにつくと言う事か？ 」
「それも、なんか違います。私はシードだけど、フィフスセクターに従って本気のサッカーができないのなら本末転倒ですし」
ただこれだけは断言できる──
「私だって皆と一緒に、本気のサッカーがしたいんです！ それだけはホントです。だから例えば、フィフスセクターからホーリーロードの出場権利をダシに脅されても、……絶対に勝敗指示に従ったりなんかしません！ 」
それを聞き届けると、塔子ちゃんは私と鬼道の間に入った。
「ごめん鬼道。コイツがこうなっちゃったのはあたしのせいだ」
「塔子……」
「女子サッカーはもう
塔子ちゃんが皆に対して深々と頭を下げた。
「お願いだ、雷門の皆！ 典子を一人にしないでくれ」
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作者名：やに | 作成日時：2022年9月11日 21時
