Ｎｏ．１２【inzmGO】CEN (ページ33)

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『今度は雷門のシュートだ！一点返せるか！？』
「ハイドロアンカー！！」

　海王のゴールキーパーが海面と化した地面に手を打ち付ける。彼はそこから重々しい鎖を引っ張り抜錨すると、錨をボールに当ててデスソードを弾き返した。

「剣城のデスソードが……！」

　溢れたボールは海王の選手に渡り、鮮やかなパス回しで浪川の元へと返ってくる。

『海王の怒涛の攻撃だ！雷門ボールに触る事すらできないぞ！』
「剣城！典子！守りを固めるぞ！」

　全員がシードという言葉を私は舐めていた。高水準の能力を持った選手達が緻密な連携を取るのがここまで恐ろしいなんて。

『雷門ここでフォワードを一度下げます！そして浜野がディフェンスに入る！』

　浜野先輩が浪川の行く手を阻むが涼しい顔で躱されてしまった。

「二人がかりで対応するんだ！」

　霧野先輩が守備の指示を出した。私や剣城に人数が割かれてるから、二人がかりで海王の選手に当たっても極端にスペースが開く事はないと判断したらしい。

『雷門懸命な守りが続いているぞ！』

　二人がかりになれば海王の攻勢を弱める事は出来ている。それでもこれじゃ防戦一方だ。

「行くぜ！！」
「行かせるか！」

　信助がボールを持った浪川へと向かっていく。

『おっとしかし浪川はフェイント！ここでサイドから喜峰が抜け出した！』
「まずい！アイツをフリーにするなッ！」

　車田先輩が叫んだ。喜峰にボールが回ると、またあのロングシュートが飛んできてしまう。

「──スパイラルドロー！」
「ナイス天馬ぁー！」

　自慢の足で喜峰に追いついた松風が、なんとかシュートを打たれる前に彼からボールを奪った。ピンチが一転してカウンターのチャンスに変わる。

「松風！こっちだ！」
「剣城！」
『ここでもう一度剣城に繋いできた！！』

　剣城のマークにつこうとした選手を神童先輩が食い止めた。今度はさっきと違ってスペースに余裕があるし、守備の層も薄い。

「決める──デス、ドロップ！！」

　ゴール前までディフェンダーをいなしつつドリブルで駆け上がると、剣城が踵で勢い良くボールを浮かせた。黒々とした稲妻を帯びたボールをオーバーヘッドで叩き落とし、重量感のある錨ごとゴールキーパーをネットへと押し込んだ。

『決まったー！剣城の同点ゴール！！雷門１ー１に追いついた！！』
「これで同点だな！追いついた……！」
「さっすが剣城！」

　視界の端で信助が跳ねる。