Ｎｏ．１２【inzmGO】CEN (ページ19)

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「コソコソと何してたんだよ」
「倉間、そんな言い方ないだろ」
「……すまない、朝練の邪魔をして」
「変だと思うだろ、……こういうの。未練タラタラでサッカー部見学したりさ」

　ポツリポツリと言葉を選びながら、一乃さんと青山さんが慎重に話し始めた。周りの皆は黙って二人の話に耳を傾ける。

「まぁ、いいんじゃないか？サッカー部……だったんだしさ」
「……その、俺達帝国戦を見に行ったんだ」
「そうか……。ありがとう」
「凄い試合だったな、どっちも本気で。あそこまで本気の試合って、俺達が知る限り初めてだったと思う」
「まさかアルティメットサンダーを完成させるとは思わなかったよ」

　アルティメットサンダー、その単語に思わず私は身を強張らせた。霧野先輩の事が気になり視線を動かすと、狩屋君とばっちり目があってしまった。
　気まずい──！反射で勢い良くそっぽを向くと、隣の葵ちゃんが怪訝そうな顔つきで私を嗜めた。
　典子ちゃん、今真面目な話してるんだから……。
　ご、ごめんなさい大人しくしておきます……。

「それに……ソイツ、フィフスセクターのシードだろ？」

　恐る恐る青山さんは剣城を見た。当の本人は居心地悪そうに腕を組んでフェンスに寄りかかっている。

「今の剣城は黒の騎士団の時の剣城じゃない。雷門イレブンの一員だ。……俺達は全国へ行く。戦いは始まったんだ。もう止まらないし、止めるつもりはない」
「怖くないのか？」
「怖くない、と言えば嘘になる。でも、サッカーが好きという気持ちに、嘘はつきたくない」

　真っ直ぐに彼らの目を見て神童先輩は答えた。

「本気、なんだな」
「ああ」
「……頼む！」

　深々と頭を下げる一乃さんと青山さんに、一同がざわつく。

「サッカー部に入れてくれ！俺達、またサッカーがやりたいんだ」
「今更復帰したいなんて、調子良い奴だって思うかもしれないけど……皆のサッカー見てたら、またどうしてもやりたくなったんだ！」
「……待ってたぞ」
「神童！コイツら入れる気か！？」
「はい」
「はいって、フィフスセクターが怖くて逃げ出した奴らだぜ」
「けど、戻ってきてくれた。俺達のサッカーを見て、もう一度フィフスセクターと戦おうと決心してくれたんだ。だったらそれでいいじゃないか」

　仕方ないな、と車田先輩や倉間先輩が納得したのを見て安堵した様子の二人だった。
　が。

「──俺は反対だ」

　霧野が必死の形相で歓迎ムードをぶち壊した。