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ケーキを食べ終わり、持ち寄ったお菓子も大半が胃袋に収まりつつあった。私はウエットティッシュで指についたポテチの油を拭く。
「それがほんと凄かったんですよ！ ダッシュトレインて、汽車みたいに突っ込んでいって！ 車田先輩って、偉そうにしてるだけかと思ったらあんな必殺技持ってるなんて超びっくり！ 」
「ね！ 倉間先輩も最後の最後で、サイドワインダー！ 決めちゃうんだもん、皆見てた？ パスがフェイントだって気づいた時の剣城の顔！ 悔しそうだったな〜。やっぱり雷門の点取り屋は凄いよ！ 」
「それを言うなら天城先輩の必殺技だって、ビバ！ 万里の長城って、あのシードの攻撃を防いでさあ。なあ信助！ 」
「必殺技……」
「ん、どうしたの？ 」
「あ、あぁ何でもないよ！ 」
信助はぎこち無い返事の後、食べかけていたケーキに再び手を付けた。
「あぁ、それから浜野先輩の必殺技！ なみのりピエロあれも凄かったよねー」
「それと化身！ 」
「そうそう！ 剣城のランスロットが──」
「ご馳走様でした！ 」
「凄く美味しかったです！ 」
「またいらっしゃいね。大勢で食べると楽しいわ」
「はい！ 」
帰る頃には辺りは紫がかっていた。
「よーし、次の試合も買って、今度は秋姉にご馳走作ってもらうんだ〜！ 」
松風君の言葉に秋ちゃんが微笑む。
「……あら？ お帰りなさい、木暮君」
振り返るとそこにはスーツ姿の男性が一人立っていた。お帰りなさい、という事は彼はここの住人なのだろう。
「何コイツら。天馬の友達？ 」
「そうだよ！ 信助と葵と反田さん」
「……ふーん。さっさと帰れよ、暗くなるから」
少しぶっきらぼうに言われて萎縮するが、内容は私達を心配するものだから邪険にされているのではないんだろう。
「信助、反田さん。次の試合に向けて頑張ろうな！ 」
「……うん！ じゃあ、また明日！ 」
「バイバーイ！ 」
「じゃあねー！ 」
ホーリーロードのチラシ見て立ち止まる信助。
「……もっと頑張らなきゃ」
「うんうん！ 頑張ろー！ 」
「うわぁ！？ 」
驚いた信助が派手に顔から転けた。
「ありゃ、大丈夫？ 」
「何でいるの！？ さっき別れたよね？ 」
「や、そのー。信助が心配でさぁ」
「僕が？ 」
「パーティの途中で大人しくなっちゃったから、具合でも悪いんじゃないかなって」
「典子ちゃん……」
「あと道間違えて引き返したら、信助がいたから声かけちゃった」
「何だよもー、感動して損した！ 」
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作者名：やに | 作成日時：2022年8月26日 1時
