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「なぁ、お前は狩屋をどう思う」
「狩屋君……ですか？ 」
試合中くらいでしか見た事ないくらい、霧野先輩は真剣な表情をしていた。
「サッカー上手くて、いつも穏やかで……でも」
「でも？ 」
「……狩屋君は私の事、嫌ってるのかもしれないです」
初対面の時から何とも言えない違和感がある。足を踏まれたり、私が話している時はジッと値踏みをする様な目付きになったり、今日は声色もどこか私を蔑んでいるみたいな冷たさがあった。
「実はさ、俺もあんまり狩屋にいいようには思われてないみたいなんだ」
「えっ！？ 霧野先輩が！？ 」
驚いて大きな声が出てしまった。
霧野先輩を嫌う人なんているの？ 優しくて頼りになる、理想のかっこいい先輩の擬人化と言われても納得してしまうくらいの、霧野先輩を？
「知らぬ間に何かアイツにとって嫌な事をしちゃったのかと思ってたけど、どうもそういう訳でも無さそうでさ。お前もさっき絡まれてたろ？ 原因分かったりしないかと思って」
「むー、嫌われる原因……ですか……」
なんと切ない議題か。
でも霧野先輩と私では何も共通点が見当たらない。ポジションも違えば学年も違う。
「私はシードだから、まぁ、嫌われてても不思議じゃないですね」
いつ裏切る？ やら、電話をフィフスセクターからか？ と聞いてきたり、狩屋君はとにかく私がシードであるから嫌っているのではないかなと考えさせられる言動が多々あった。
「自分で言っちゃうのも悲しいですけど、やっぱりシードって一般のサッカープレイヤーにとっては悪人なんだなぁと」
「……」
「あはは……」
「……逆じゃないか？ 」
「逆？ 」
「
「狩屋君が……！？ 」
いやいやいやそんな馬鹿な。え、だとしたら私とはシード同士仲良くしてくれてもいいんじゃ……？
「お前シードだけど最初からフィフスセクターに従ってなかっただろ」
「そうですね。……あ」
「フィフスセクターに従わないシードなんて、他のシードには嫌われて当然なんじゃないか？ 思い出してみろよ、剣城のお前に対する態度」
剣城の足ドンを思い出して肝が冷える。あれ壁がコンクリートだったから良かったけど、木材だったら器物破損でパクられていたかもしれない。勿論剣城が。
「ヒィ〜……！ 」
「な、何を思い出したんだよ。ま、まぁいいや。とにかく、俺は狩屋がどうしても気になって仕方ないんだ」
「うーん……狩屋君がシード……」
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作者名：やに | 作成日時：2022年8月26日 1時
