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「鬼道有人って、もしかしなくても円堂さんと一緒にイナズマジャパンで活躍した、あの鬼道さん！？ 」
「ええ、そうよ。そして鬼道有人は……私の兄なの」
「えぇっー！？ そうだったんですか！ 」
「帝国学園がフィフスセクターの手の中にあるって事は、鬼道さんもフィフスセクターに？ 」
「いいえ、そんな筈はない！ 」
食い気味に否定して、バツが悪そうに続ける。
「……円堂さんにもこの事を話したわ。でも円堂さんも私も兄が帝国にいるなんて信じてない。だって、兄はサッカーのイタリアリーグで活躍をしている筈だもの。確かに最近は連絡が取れないけど……」
「それで帝国に確かめに来たんですね。でも一人で行くなんて危ないですよ、俺達も行きます！ 」
「……ありがとう」
この目の前の扉がいかにも怪しいのだが、押せども引けどもスライドせども、ぴくりとも動かない。手元にサッカーボールがあれば──ふとそんな事を考えるとほぼ同時に私の頬スレスレをボールが横切った。
「うわっ！ なんだ！？ 」
ボールが飛んできた方向に目をやると、そこには緑地に赤のラインが入ったユニフォームに身を包んだ少年達が立っていた。リーダー格と思しき一人がトランシーバーを口に近づける。
「こちら御門。侵入者を発見。ただちに排除する」
「あの人達のユニフォーム、帝国学園サッカー部の！ 」
「御門って、さっき音無先生が見せてくれた書類に載ってた帝国イレブンのキャプテンじゃねえか……！ 」
「ちょっと待った！ 俺達ただ、うわ危なっ！ 」
浜野さんに向かって蹴られたボールを掠めとって、そのまま後ろの扉に全力でぶつけた。多少凹んだがこの方法でこじ開けると時間がかかり過ぎる。
「た、助かったー！ けど何やってんの典子！ 」
「ア、アハハ。開くかなぁって思って」
「開く訳ないでしょう！？ 」
「危ない音無先生！ 」
「きゃっ！ 」
松風君が音無先生の方へ飛んだボールを弾いた。
「話を聞いてくれる感じじゃない、逃げましょう！ 」
「はい！ 」
「逃げるって言ってんだろうが馬鹿！ 何でテメェ奥に走ってこうとしてんだ！ 」
「す、すみません！ 」
「反田さんは一番前走らないで！ 絶対に迷うから！ 」
「そんなぁ」
飛んでくるボールを一番後ろの倉間先輩が逐一足でいなす。
「警報を鳴らせ！ 侵入者を捕えろ！ 龍崎は鬼道監督に報告！ 」
「今……！ 鬼道って」
「そんな、……。行きましょう天馬君、足を緩めちゃだめ！ 」
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作者名：やに | 作成日時：2022年8月26日 1時
