隻腕のアーチャー ページ8
北欧にある第二の異聞帯で遭遇した神代のサーヴァントによって、探偵は死のルーンを刻まれその叡智を封じられた。彼はマスターの藤丸立香を守りきったが、右腕を失い、座に還る寸前まで追い込まれる。
回復ポットから起き上がった彼は、意識を取り戻して真っ先に、目の前で涎を垂らす見覚えの無いマスターでは無く自身の在り方に驚いた。
クラスが
生前狩猟に長けていた彼の一側面が呼ばれた、それだけの話ならば何も矛盾は無かった。
しかし問題は彼に右腕が無かった事──カルデアに呼ばれた彼が負った傷をそのまま引き継いでの召喚など、有り得ないからこそ彼は驚いたのだ。正確にはこの時点の彼はまだカルデアの記憶を思い出していなかった為、「何故右腕が無いのだ？ 」と生前とのギャップに違和感を覚えたと言った方が良いだろう。
己を呼んだであろう男は薬を打っていたらしくまともに会話ができる状態ではない。まず現状を把握する為に彼の住処であった下水道を工房へと変えた。そしてアサシン陣営、キャスター陣営の存在を確認し、彼は自分が聖杯戦争に巻き込まれていると確認する。
そう、巻き込まれている──彼には聖杯への願いがない。
右腕がない、そして聖杯にかける願いが無いのに呼び出されたという謎が彼を悩ませた。いつもならばすぐにでも答えが出ているのだが、弱体化している上に、
アーチャーが朝の珈琲を啜りながら新聞を読んでいる時に、その音は唐突に鳴り響いた。
ツッツー、ザザッ、という通信音が耳に入った瞬間、彼は全てを思い出す。
「──ホームズ！！ 無事かい、私の声は聞こえている！？ 」
幼い少女の声。共に戦う頼もしい仲間の声だ。
「ダヴィンチ──」
「なっ、君どこで何をしているんだ？ 優雅に珈琲なんて飲んじゃって」
彼から彼女の映像は見えないが、どうやら向こうには自分の挙動は筒抜けらしい。
「状況を整理したい。そちらは話せる状態かな？ 私には見ての通り余裕がある」
「余裕があるって言ってもさぁ、君ねぇ」
「む。確かに死のルーンを受けているのだから、意識だけの状態とはいえ無茶をしたり悠長な事をしていたら本当に退去しかねない、かな？ 」
「そこまで分かっているならどうしてボーダーへ通信を寄越さなかったんだよ！ 」
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しけ(プロフ) - 眠る兎さん» ありがとうございます！ずっとここに残っていると思うので、ふと気の向いた時にまた自作のオベロンと聖杯戦争を駆け抜けて貰えればと思います^^ (8月20日 15時) (
レス) @page25 id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
眠る兎 - とても面白かったです。この作品に出会えて良かったです。時間の作れた時に是非また読みたいと思います。 (8月20日 9時) (レス) @page21 id: e3b5fe12a0 (このIDを非表示/違反報告)
やに(プロフ) - 何者にもなれない者さん» ここまで読んでいただきありがとうございます！ 急ぎ足でしたが一つ完結という形を取れてホッとしております(^^) コメント感謝です…！ (2022年1月31日 0時) (レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
何者にもなれない者 - 面白かったです！最高でした。完結おめでとうございます。 (2022年1月4日 15時) (レス) @page25 id: a6de92b5ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やに | 作成日時：2021年8月31日 23時
