▽ ＶＳビースト ページ6
「今度俺をそんな名前で呼んでみろ。四肢を捥いでライオンの餌にしてやる」
「まぁ怖い！ ……ふふ、それはいけない。うっかり呼んでしまわぬよう気をつけなければ」
「そうしてくれ。君じゃなかったらすぐにでも殺してた」
霧が薄らと引いていく。どうやらアーサーは霧の濃度を自在に操れるみたいで、彼女が剣を構えた先に化け物の姿が見てとれた。
「長話をしている暇は無いぞ。俺の見立てではアーサー、貴様の固有結界は四半刻と持た無いのではないか？ 」
「ご推察の通りです、ガウェイン卿。よくて二十分程度とお考え下さい」
ガウェインと聞いたランサーが嫌な顔をする。
よく見れば彼は先程まで来ていた白の外套を脱いでいて、鮮やかな翅もボロボロで痛々しい。
「ランサー貴方、傷だらけじゃん……！ 」
「は？ ……あー、翅なら気にしなくていい、飾りだからね」
ガレス君の指示でガウェインが獣へと駆け出した。アーサーもその後に続く。
「マスター、アイツらがアサシンの動きを留まらせた一瞬に勝負を仕掛けるよ」
「それってこの前の宝具？ 」
「あぁ。セイバーを倒す為にアーチャーから貰った一画をここで使う」
「……」
「……一画残ってれば俺が君を裏切ろうとしても止められるから、ここで渋る必要は無いと思うけど？ 」
バツが悪そうにランサーがそう言うので、私はハッとして弁明する。
「あっ、違うその心配はしてないよ」
令呪はサーヴァントへの絶対命令権。裏切りを考慮し、三画ある令呪だが、通常使用する場合は二画に留めておくのが常識らしい。
私が心配しているのはその事では無い。
「やっぱり怖いでしょ？ 」
ランサーの光の槍は、きっと彼にとって良くない物だ。流れ込んできた魔力の質が、感情が、私に訴えかけていた。怖い、痛い、悔しい──悲しい。そして何より、辛い。どうして自分がこんなものを背負わなくてはいけないのか──
「ははっ！ 何を言うかと思えば……。その言葉そっくりそのまま返すよ、マスター。怖がっているのはお前だろ？ そりゃそうさ。好きな男があんな化け物になって、しかも意欲的に殺さないといけない現状に、誰よりも怯えている筈だ」
「うん。私も怖いと思ってる」
「……チッ。その恐怖はお前のものだ。俺のじゃない」
「君は優しいね」
「それ以上喋るな吐き気がする。何にせよ、あの様子じゃアサシンを倒すには俺のロンゴミニアドしかないだろうさ」
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しけ(プロフ) - 眠る兎さん» ありがとうございます！ずっとここに残っていると思うので、ふと気の向いた時にまた自作のオベロンと聖杯戦争を駆け抜けて貰えればと思います^^ (8月20日 15時) (
レス) @page25 id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
眠る兎 - とても面白かったです。この作品に出会えて良かったです。時間の作れた時に是非また読みたいと思います。 (8月20日 9時) (レス) @page21 id: e3b5fe12a0 (このIDを非表示/違反報告)
やに(プロフ) - 何者にもなれない者さん» ここまで読んでいただきありがとうございます！ 急ぎ足でしたが一つ完結という形を取れてホッとしております(^^) コメント感謝です…！ (2022年1月31日 0時) (レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
何者にもなれない者 - 面白かったです！最高でした。完結おめでとうございます。 (2022年1月4日 15時) (レス) @page25 id: a6de92b5ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やに | 作成日時：2021年8月31日 23時
