■のとなり ページ23
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「先輩、よく眠られていましたね」
マシュの声で意識が戻った。
「あ……うん」
「お体の具合はいかがでしょう？ 昨日の演習で倒れたきり起きてこられなかったので、皆さん心配されていましたよ」
「迷惑かけたみたいでごめんね」
「いえ、ご無事で何よりです」
控えめに微笑んで、彼女は俺の手を引く。どこに行くのかと聞けば、英霊召喚をするとの答えが返ってきた。彼女の盾を用いるサーヴァント召喚は、マスターの俺がいなくては出来ないのだ。
そう言えば昨日ダヴィンチちゃんから聖晶石の準備をしておくと言われていたのを思い出す。
俺がいなくちゃ、やらなくちゃいけない。
「今日はどんな方がいらっしゃるんでしょうね」
「やあ、ここがカルデア？ 話には聞いていたけど、実際に来ると本当に身震いするなぁ！ おっと、自己紹介、自己紹介。僕はオベロン。妖精王オベロン。この通り、お飾りの王様だけど場を和ませるのだけは得意でね。微力ながら君の力になってみるよ──よろしくね？ 」
目の前に王子様が現れた。
興奮する様子のマシュに理由を聞くと、何でも彼は召喚が難しい霊基を持った英霊だそう。ドクターも難しい顔で首を傾げていた。
「あっはは！ どうやら僕のクラスが皆の悩みの種みたいだね」
「プリテンダー、ってどういうクラスか聞いてもいい？ 」
「エクストラクラスの一種さ。詐称者……まぁ僕の場合は役者とでも言おうか」
彼はからりと笑った。
最初はどうなる事かと思った人理修復の旅も、気づけば終わりを迎えようとしている。
「オベロン」
俺は廊下で子供系サーヴァントと戯れている彼を呼び止めた。彼は俺が抱えている物を見るやいなやギョッとした顔をする。
「どうしたんだいマスター、そんな物抱いて走り回るなんて」
「これ、君にあげたくて」
初めてカルデアが回収した聖杯。オルレアンの聖杯。そしてカルデアの技能士達が生み出した夢火という、奇蹟を呼ぶ器。
思えば今までオベロンには助けられてばかりだった。これを使う相手は色々考えたけど、俺はオベロンに──
「いらない」
「え！ 」
「いやぁだってマスター、今更じゃないかい？ もう物語は終幕だ。使って何になるのさ」
「えっと、でも」
「それに僕なんかじゃなくて、もっと相応しい奴にあげたら？ 」
「でも、オベロン欲しがってたじゃん、聖杯」
「うーんそりゃあ欲しいけどね。値打ちがあるし……呑み代の担保に」
「それは駄目」
「ちぇ」
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しけ(プロフ) - 眠る兎さん» ありがとうございます！ずっとここに残っていると思うので、ふと気の向いた時にまた自作のオベロンと聖杯戦争を駆け抜けて貰えればと思います^^ (8月20日 15時) (
レス) @page25 id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
眠る兎 - とても面白かったです。この作品に出会えて良かったです。時間の作れた時に是非また読みたいと思います。 (8月20日 9時) (レス) @page21 id: e3b5fe12a0 (このIDを非表示/違反報告)
やに(プロフ) - 何者にもなれない者さん» ここまで読んでいただきありがとうございます！ 急ぎ足でしたが一つ完結という形を取れてホッとしております(^^) コメント感謝です…！ (2022年1月31日 0時) (レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
何者にもなれない者 - 面白かったです！最高でした。完結おめでとうございます。 (2022年1月4日 15時) (レス) @page25 id: a6de92b5ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やに | 作成日時：2021年8月31日 23時
