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大学での戦闘は次の日には取り上げられ、全国ニュースになっていた。
私は二人分の朝食を用意し、部屋へと戻る。
「はい、ランサー」
彼は左手で食パンの乗った皿を受け取った。昨日見た昆虫の様な面影は無く、白くて綺麗な手。
「食べ終わったら散歩しない？ キャスターの所に行くにはまだ早いから」
「そうだね。聖杯戦争も大詰めだ、決戦前に羽を伸ばすといい」
「うん。ありがとう、ランサー」
「……あはは。どうしたの急に。気持ち悪いなぁ」
「言える内に言っておくのって大事でしょ？ 」
「もうキャスターに勝った気になって僕が座に還るの想定してるの？ 君ってば大人しい顔して案外図太いというか、調子良いよね」
ランサーがその白い指でパンをちぎる。
サーヴァントが食事を必要としないからだろうか。彼が何かを食べる時の動作は子供のおままごとみたいに映る。彼は私という子供に付き合ってくれているんだ。
あぁくだらない、どいつもこいつも生きているだけで幸せになれるなんて羨ましいよ。うん、ごめんね。
自販機でジュースを買った。
ホントに、心底から気持ちが悪い。うん。
道端の石を蹴って遊んだ。
どうしてこんな状態で笑ってるんだ、怒れ、理不尽だと泣けばいいのに。私もそう思う。
塀の上の猫を愛でた。
俺とは、僕とは、全く違う、相容れない存在だろう。そうかもしれないけど、隣にいてくれる貴方は優しいね。
公園のブランコで休憩した。
優しいね、ランサー。
その優しさが私に向けられた物でないとは分かっているけれど、それでも貴方の全てが私の癒しなんです。え？ そうだよ。私が勝手に救われているだけだけし、そういうのも貴方は嫌いかもしれないな。
理解者ぶるな反吐が出る。
たはは……ごめんね。
薄っぺらい謝罪なんかいらない。
じゃあ何が欲しい？ 私は君に、何をしてあげられるかな。
思い上がるな人間風情が。俺がお前に求めるものなんか何も無い。……あぁでも、そうだ。騒がずに静かにしていてくれると嬉しいな。それくらいだったら出来るだろ、マスター。
秋の風に撫でられながら、無言で会話しながら、私達は散歩をした。キャスターの工房に行くまでの道のりを、ゆっくりと急ぎつつ、散歩した。
山を登りはじめて、三十分程歩いただろうか。キャスターの工房はひと目でわかった。
「お、お菓子の家……！？ 」
「ようこそ、待ちくたびれたわ」
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しけ(プロフ) - 眠る兎さん» ありがとうございます！ずっとここに残っていると思うので、ふと気の向いた時にまた自作のオベロンと聖杯戦争を駆け抜けて貰えればと思います^^ (8月20日 15時) (
レス) @page25 id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
眠る兎 - とても面白かったです。この作品に出会えて良かったです。時間の作れた時に是非また読みたいと思います。 (8月20日 9時) (レス) @page21 id: e3b5fe12a0 (このIDを非表示/違反報告)
やに(プロフ) - 何者にもなれない者さん» ここまで読んでいただきありがとうございます！ 急ぎ足でしたが一つ完結という形を取れてホッとしております(^^) コメント感謝です…！ (2022年1月31日 0時) (レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
何者にもなれない者 - 面白かったです！最高でした。完結おめでとうございます。 (2022年1月4日 15時) (レス) @page25 id: a6de92b5ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やに | 作成日時：2021年8月31日 23時
