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ホームズがアーチャーとして現界したのは、何も知り合いのせいだけでは無い──押し付けたんじゃないアイツが勝手に借りてった──とある悪のナポレオンの言葉通り、彼は自ら裁定者としての在り方を捨てたのだ。
己に刻まれた死のルーンを万能の願望器である聖杯で解呪する為。延いてはマスターの藤丸立香、彼にこれからも力を貸す為に正義の味方ではなく、ずる賢い悪役になった。
それを巌窟王は察していた。しかしこの聖杯戦争で手に入る聖杯を使えば藤丸立香は──
「クッ──ハハッ……！ さしものオレでもこれ以上の現界は……不可能、か」
今度こそ巌窟王は足先から消えていく。鋼鉄の決意を持つ彼でも、魔力不足による退去は避けられない。ホームズとの戦闘でこれまで温存していた魔力を使い切ったのだ。
ライダーとして初め呼ばれた彼は、中途半端に残っていたカルデアの記憶の影響で早とちりし、この世界と己を結ぶ楔を壊した。そしてAと会いランサーにライダーの自分を終わらされ復讐者としての自分を思い出した。
「クッ……クッハハハハハハハハ！ オレはお前の往く道を、終わりを！ 信じよう！ A──！ 」
アーチャーとそのマスターを殺し、この特異点での彼の役目は終わった。笑い声と共に、復讐鬼の霊基は特異点から完全に消える。
藤丸立香の隣にかえる。
酷い夢を見た。今夜はしっかりと内容も覚えていた。
「ランサー、起きてる？ 」
私はのっそりとベッドから上体を起こし、虚無に語りかけた。数秒後、ランサーがゆっくりと霊体化を解く。
「サーヴァントは寝ない」
「アーチャーの所ではぐっすり寝てたじゃん」
「……何だよ、話ならさっさと済ませろ。今何時だと思ってる」
言われて時計を見てみると夜中の二時だった。
「ふふ、変なの。寝ないのに時間の心配するんだね」
「……」
「夢を見たんだ。それでちょっと興奮しちゃって、寝れなくなっちゃった」
「良いだろう、何か聞かせてやる。リクエストはあるかい？ 」
「そうだなぁー。……貴方の大切な人について、聞きたいな」
「あれ、忘れちゃったの？ それは僕が君についた適当な嘘だって言ったろ」
「それでも聞かせて」
「成程作り話をご所望か。いいさ、眠気を誘う飛び切りつまらない、陳腐な物語を聞かせてやろう」
優しい私のランサー。
例え貴方の全てが嘘まみれで、何一つ本当の事なんてなくても、私は貴方に救われている。それだけは真実だ。
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しけ(プロフ) - 眠る兎さん» ありがとうございます！ずっとここに残っていると思うので、ふと気の向いた時にまた自作のオベロンと聖杯戦争を駆け抜けて貰えればと思います^^ (8月20日 15時) (
レス) @page25 id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
眠る兎 - とても面白かったです。この作品に出会えて良かったです。時間の作れた時に是非また読みたいと思います。 (8月20日 9時) (レス) @page21 id: e3b5fe12a0 (このIDを非表示/違反報告)
やに(プロフ) - 何者にもなれない者さん» ここまで読んでいただきありがとうございます！ 急ぎ足でしたが一つ完結という形を取れてホッとしております(^^) コメント感謝です…！ (2022年1月31日 0時) (レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
何者にもなれない者 - 面白かったです！最高でした。完結おめでとうございます。 (2022年1月4日 15時) (レス) @page25 id: a6de92b5ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やに | 作成日時：2021年8月31日 23時
