▽ アーチャーＶＳアヴェンジャー ページ13
「巌窟王……ッ！ 」
ホームズが腹を押えて片膝をつく。地面には夥しい量の血が滴っていた。
彼が睨む視線の先には、深緑の外套に身を包むライダーこと
工房への侵入を想定していなかった彼は、背後からの攻撃を避けられなかった。通常陣地作成を持つサーヴァントの工房へ容易く入り込むなど不可能だ。しかし、ここは特異点であり現実でありながら、夢の中でもある。夢の中は彼の仕事場だ。入れない道理が無い。
「悪属性を付与され、概念宝具、幻霊の魔弾を使う。憎き宿敵の力を借りる主人公。いいだろう、所詮夢だ。作家共の好む言い方に直すなら二次創作。その在り方を否定はせんさ。だが」
ホームズが飛び上がると、地面から黒い火柱が上がった。
「酷い内容なら話は別だ」
「私が間違っていると？ 」
「呆けるのも限度があるぞ。お前が間違いなのでは無い。お前に罪は無い。ただその在り方で聖杯を手に入れられては、藤丸立香に迷惑がかかる」
着地し体勢を整え魔弾を放つ。放てば必ず標的に着弾するそれを、巌窟王は尽く恩讐の炎で燃やした。
「アーチャーとなり悪に染ったお前には我欲がある。しかしその欲は夢の中でしか許されない。よってオレが廃棄するのだ」
「待った、君は立香君の為に動いているって言うの！？ じゃあ殺し合う必要は無いだろ、話を──」
「無駄だ、未完の万能者。オレはお前達の立香の為ではなく、全ての藤丸立香の為に動いている」
巌窟王はホームズの懐に詰め寄り、異形化した腕で胸部に風穴を開けた。
「ッ──コハッ……！ 」
「……弱体化したというのは本当らしいな、探偵」
「あぁ……ここまで、手も足も出ないとは」
「この特異点はアイツにしか救えない。だが、もし裁定者としての宝具が使える貴様であれば、或いは別の可能性もあったやもしれぬ」
ルーラーのシャーロック・ホームズが使う宝具『
誰でも使える幻霊を借りて小悪党に成り下がった今の彼には、決して使えない宝具。
「そうかい……。成程、今やっと理解したよ」
「退去の前に煙草は吸うか？ 」
「いや、遠慮しよう。そちらのマスターに宜しく、私の知らない、復讐者……」
光の粒子となってホームズが巌窟王の腕の中から消える。
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しけ(プロフ) - 眠る兎さん» ありがとうございます！ずっとここに残っていると思うので、ふと気の向いた時にまた自作のオベロンと聖杯戦争を駆け抜けて貰えればと思います^^ (8月20日 15時) (
レス) @page25 id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
眠る兎 - とても面白かったです。この作品に出会えて良かったです。時間の作れた時に是非また読みたいと思います。 (8月20日 9時) (レス) @page21 id: e3b5fe12a0 (このIDを非表示/違反報告)
やに(プロフ) - 何者にもなれない者さん» ここまで読んでいただきありがとうございます！ 急ぎ足でしたが一つ完結という形を取れてホッとしております(^^) コメント感謝です…！ (2022年1月31日 0時) (レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
何者にもなれない者 - 面白かったです！最高でした。完結おめでとうございます。 (2022年1月4日 15時) (レス) @page25 id: a6de92b5ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やに | 作成日時：2021年8月31日 23時
