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「あ、れ……ウィリアム君、もう怪我はいいの？ 」
「うん。お陰様で何とか退院出来たよ」
生温い風が私の頬を撫でた。
嫌な予感がした。
「ど……どうしたの？ 」
「一つ、聞いてもいい？ 」
私は息を吐いてから真っ直ぐに彼を見た。
図書館から出てきた私のすぐ後ろに彼は立っている。
「いつから私の近くにいたの？ 」
言い切る前に──笑顔を浮かべたウィリアム君の顔が、音も無くすぐ目の前まで迫っていた。
「見苦しいな」
ウィリアム君の豹変に驚く暇なく、次は視界が一瞬で白く染まる。この外套は、声は。
「ランサー！ 」
「あぁ、そんな大声を出さないで、煩いから。叫ばなくても分かるだろう？ 正真正銘、君のランサーさ」
「来てくれてありがと……けど、どうして」
「何、君の左手につけた糸を手繰って駆けつけただけだよ」
いつの間にか左手にあった指輪が無くなっていた。
「アリアドネの糸の概念礼装じゃん。て事はアンタ、テーセウス？ 」
ウィリアム君の更に後ろから学生と思しき女の子が歩み寄ってくる。
「残念だけど外れだよ、お嬢さん」
「あは、違った！ やっぱサーヴァントの真名当てんのって難しいや。まぁテセウスだったらライダーで呼ぶよね、ランサーじゃなく」
「おーいーマスター？ 話が違くね？ サーヴァントとマスターが揃っちゃったけど、相手」
「ごめーんランサーなら私でも足止めできると思ったんだけど、すぐに拘束切れちゃったから」
頭がぐるぐると回っていて沸騰しそうだ。
「ま、マスター……？ ウィリアム君の、え、でも」
「ウィリアムって、俺そんな名前じゃないけど？ 」
「え──」
「お、真名解放しちゃう？ 」
「ヒヒッ！ 分かってんじゃねーか、流石俺様ちゃんのマスター！ 」
「マスター、彼は人間じゃない。どうしてか僕でも気づけなかったけど」
ランサーの声がくぐもって聞こえた。人間じゃない？ ウィリアム君が？
あの日ライダーに襲われて、血だらけになって倒れていた彼の姿がフラッシュバックする。
だってあんな死にそうになってたのに──
「いいね、学校の敷地内で処理が面倒そうだけど、まぁ、後々大人が辻褄合わせ頑張るでしょ！ じゃあ令呪をもって命じるよ」
「彼はアサシンのサーヴァントだ」
「ん、アサシン？ 違うよ」
彼女の令呪が禍々しく光る。
真名解放──
「私の
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しけ(プロフ) - 眠る兎さん» ありがとうございます！ずっとここに残っていると思うので、ふと気の向いた時にまた自作のオベロンと聖杯戦争を駆け抜けて貰えればと思います^^ (8月20日 15時) (
レス) @page25 id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
眠る兎 - とても面白かったです。この作品に出会えて良かったです。時間の作れた時に是非また読みたいと思います。 (8月20日 9時) (レス) @page21 id: e3b5fe12a0 (このIDを非表示/違反報告)
やに(プロフ) - 何者にもなれない者さん» ここまで読んでいただきありがとうございます！ 急ぎ足でしたが一つ完結という形を取れてホッとしております(^^) コメント感謝です…！ (2022年1月31日 0時) (レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
何者にもなれない者 - 面白かったです！最高でした。完結おめでとうございます。 (2022年1月4日 15時) (レス) @page25 id: a6de92b5ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やに | 作成日時：2021年8月31日 23時
