キスして抱きしめて (ページ8)

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『…はぁっ、！』

最っ悪な悪夢のせいで起きてしまった。
時計を見れば深夜2時。
隣を見れば、すやすやと寝ている祐希。
動きが速くなった心臓は、一向に落ち着かない。

祐希「……ん、Aどうした……？｣

『…祐希』

祐希は腕を広げ、優しい声で「おいで」なんて言ってくれる。私は吸い込まれるように祐希の腕の中に入り込む。

祐希「なにか不安なことがあった？」

『……1人で暗い中、祐希のこと呼んでるのに、振り向いてくれなくて、怖くて……』

祐希「怖い夢を見たのか、大丈夫。俺ここにいるでしょ？｣

『うん、』

頭を撫でてくれたり、指で涙を拭ってくれたり、壊れ物を扱うかのように優しく接してくれる。
顔が近づいて来たと思った時にはもう、重なる唇が安心材料になっている。さっきまで速かった鼓動は、落ち着きを取り戻している。

『……んッ、』

祐希「俺はずっとAのそばにいるから。絶対に離さないから。1人にさせないよ｣

『……ん、ありがとう、』

あの後、朝起きるまでずっと抱きしめていてくれた。悪夢を見たとしても祐希がいれば大丈夫だと思えた。

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