キスして抱きしめて (ページ15)

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俺はタオルの事なんか忘れて、彼女のサーブ練習に目を奪われていた。
宙に舞ったボールは想像出来ない位の鈍く重い音を出してネットを超えてアウトラインギリギリに落ちた。

女子から放たれたとは思えないくらいのパワーと速さを纏ったボール。ざっと100キロ前後だろう。

祐希「……やば、｣

『っ、！！』

気づいた時にはもう遅く、心の声が漏れてしまっていた。
しかも彼女に気づかれた。

『えっと、何か用ですか……？』

祐希「あっ、忘れ物しちゃって取りに来たら練習してるのが見えて、つい見入っちゃってました…｣

間近で見る彼女は眩しくて、目が眩みそうになった。

白い肌に映えるピンクで小さな唇、ぱっちりとした目、まるで完璧に作られた人形みたいだった。

『忘れ物、もしかしてあのタオルですかね』

彼女の指さす方を見れば、いつも使っているタオル。
わざわざ取ってきてくれた彼女は女神にしか見えなかった。

『はい、どうぞ』

祐希「すいません。ありがとうございます」

『石川祐希さんですよね、』

祐希「そうです。知ってくれているんですか？」

『はい。よく試合の動画を見ていたので』

多分、あの時の俺は顔が真っ赤だったと思う笑

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