私の音2

これからのこと70 ページ36

say my nameのステージが終わって初めてスマホを手にした時。


　私は視界が歪んだ。


親からのLINE。

《秋華ちゃんが事故で亡くなった》




　その文字を理解するのに時間がかかり、スマホを落とした。



秋華は小学生4年生の時からの私の大親友で、私の記憶が無くなった時もずっとそばに居て支えてくれた、本当に血は繋がっていないけど家族の様な存在。



　文字の内容は理解するけど、どこか現実じゃないように感じ


どんな反応をすればいいのかも分からない。


　悲しいのに涙も出ない。



震える手でスマホを握り締めてもう一度文を確認する。


　何度読んでもそこに書かれている文字は変わらなくて。


私は生気が抜けたように外へと出て風に当たる。










　少しずつ冷静になり、現実味を帯びてきた時に視界が歪み頬に生暖かい物を感じ


　

　あぁ、私は泣いているんだ。





　そう分かった瞬間から場所も考えずに私は泣き叫んだ。


声が枯れるんじゃないかって位言葉にもならない母音を叫び、神への恨みを込めて。


　泣き叫んだ。



　なんで？なんで？？



秋華とのメッセージを開き


〈うそだよね〉
〈私はしんじないよ〉
〈嫌い〉

　と、感情に任せて送信する。



　いつもならすぐに付く既読が永遠に付かなくて、



　あぁ、本当に居なくなってしまったんだと実感してしまった。

〈嫌いなんて嘘だよ…〉
〈本当はすごく大好き〉












〈今すぐあなたに、あいたいよ〉







この番組の序盤に会いたい人に電話をかけると言う企画があった時に電話を掛けた相手も秋華だった。


　韓国に行こうと思うと言う話をした時に1番に背中を押してくれたのも。


　スマホを見れない中でも毎日欠かさずに『Aに投票したよ！！デビューしようね！』とメッセージと投票のスクショ。


　そして、放送が終わった後には毎回ステージの感想や励ましの言葉を欠かさずに送ってくれていた。


　正直ここでの生活を支えてくれていたと言っても過言では無い。


　そんな存在がもう会えないなんて、



　そう考えるだけで自分の体の一部が無くなったような感覚に陥ってしまい宿舎に帰っても何もする気が起きず。


　大好きなご飯も食べずにその日は眠りについた。


　

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