く ページ9
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我妻さんが任務に出たその夜。
いつも以上に目が覚めていて少しも寝ることができず縁側に座る。
時折吹く風が心地よい。
我妻さん、今何をしているんだろう。
鬼と戦っていらっしゃるんだろうか。
気になってしまい救護用の道具の不備は無いかずっと確認してしまう。
鬼は直接見たことがなくて人から聞く話で想像するくらいで。
でも隊士の方の怪我を見ていたらどれだけ恐ろしいのかはわかる。
「……どうか、ご無事で。」
どれほど時間が経ったのだろうか。
確認に集中していて、鳥の羽音で我に返る。
お願い、鴉じゃありませんように。
鴉だと誰かが怪我をしていることになるから、皆さんが無事でいますように。
そう強く願いながらも救護用のかばんを背負う。
私の頭上に来たのは鴉だった。
はしれ、もっと早く!!
体の中の酸素が足りず息が切れる。
走り始めてまだ少ししかしていないのに喉からなるゼーゼーという音と息苦しさを恨む。
少し休まれたらどうですかなんて隠の方が言うけどそんな時間があれば治療にまわしたい。
しかし私のそんな思いと反対に体が先に悲鳴をあげた。
隠の方に背負ってもらい無限列車の元へ向かった。
列車の一部が見え、目的地が近いことを知る。
隊士の姿を確認し、治療の順番を瞬時に決める。
見た事のある白と赤の羽織を着た人物を見て絶句した。
「炎柱さま!」
私たちが駆けつけた時にはもう日が昇っており、炎柱さまは息絶えていた。
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作者名:あいかわ | 作成日時:2020年4月7日 1時