じゅうきゅう ページ19
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音柱様の鴉は左の飾りをじゃらじゃらと鳴らしながら私たちの先頭を飛ぶ。
頭がふらふらとする感覚、心臓は変に速まっていて少し気持ちが悪い。
これは走っているからだけじゃなくてきっと鴉の行く先にいる人を思ってだ。
今まででこれほど自分の体を恨んだことはない。
しのぶ姉さんだったらもっと早く駆けつけているのだろうか。
もっと体を鍛えておけばよかった。
そうしたら今よりももっと速く走れていたはずなのに。
鴉のあとを隠さんと一緒に走るがもう足がもたない。
足がもつれて上半身が前かがみになる。
足を前に出せば顔面を地面にぶつけなくてすむんだろうけど余裕のない私がそんなこと出来るわけない。
転けたらもっと遅くなるのに、と思ったけど地面がどんどん近づいた。
「走れないのなら言え。」
私のお腹に手を回してそのまま抱え上げたのは蛇柱様。
「まったく。胡蝶が来たほうが効率がいいのにこれだから医者は嫌なんだ。」
蛇柱様の一日一ネチをこれでもかというくらい聞きながら花街についた。
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作者名:あいかわ | 作成日時:2020年4月7日 1時