蒲公英みたいなあなたを【我妻善逸】 (ページ15)

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じゅうごページ15

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お店をうろうろと何往復もして、やっと納得したのか包み紙の中にあるだろう簪を大切そうに持って店をでてきた。

その顔は今までで一番幸せそうで胸が苦しくなった。

しのぶ姉さんに買ってって言われたら誰だってそうなるよね。

｢お待たせ！！

買い物は終わりかな？｣

｢そうです。

早く帰りましょう。｣

我妻さんの顔を見たくなくて背を向けるとどうしたの？って顔を覗き込まれる。

｢どうもしていません。

疲れたので早く帰りたいだけです。｣

こんなこと言ってもいいことはないのにどうして冷たくしてしまうんだろう。

もし、しのぶ姉さんみたく笑顔でいれるなら、

カナヲみたいに女の子らしい所作ができたら、

アオイみたいにしっかりしていたら、

自信を持って彼の隣を歩けているのだろうか。

我妻さんと話していると話せた幸せ以上に自分の嫌なところを見つけた嫌悪感が強くて少しだけ疲れる。

｢そうだね、Aちゃんいつも仕事しているから疲れるよね。

でもごめん。｣

いつものように優しい声音で喋る彼の手が私の前に立つ。

隊士の中ではそこまで高くない身長も私からすると十分高くて見上げた。

我妻さんの後ろの空が薄紫色になっていた。

早く帰らないと屋敷に着く頃には真っ暗で危険なのはわかってるんだけどまだ帰りたくなかった。

｢今から少し行きたいところがあるんだけどちょっと付き合ってくれる？｣

私の気持ちに気づいているかのように俯き上目遣いで提案した。