いち ページ1
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日光が家に差し込み朝を知らせる。
鴉も来ないし今夜は怪我人がいないと考え、台所に立つ。
柱の1人であるしのぶ姉さんの屋敷は広く、その分台所も1人では使いにくい広さだ。
ばたばたと朝ごはんの準備と、屋敷にいる隊士の薬を用意する。
「A、おはよう。
いつも早くからありがとう。」
「あ、アオイおはよう。
ご飯できたから隊士の皆さんに配膳してくれる?
あとから薬と一緒に私も配膳するから。」
はーい、と軽やかに返事をしてお盆に乗せた食事を運んでいく。
なほ、きよ、すみが来たので使った鍋や釜を任せて私も配膳に向かう。
「炭治郎さん、我妻さん、嘴平さん。おはようございます。朝食をお持ちしました。」
木の扉を開けると眠たそうに目をこすりながら体を起き上げる3人は、持ってきた食事を見て目を輝かせた。
「Aが作る料理はどれも美味しいな!」
なんて味噌汁をすする炭治郎さんと、
「イタダキマス」
声が掠れている嘴平さん。
「おい、伊之助。喉痛いなら少しずつ食えよ。
ところでAちゃん、食べさせてぇ♡」
我妻さんの右手は蜘蛛化により縮み、左手の痙攣によりスムーズにご飯が食べられないため食事を手伝っている。
「はい、我妻さん、あーん。」
「あーんっ!
うふふふふ、おいしいよぉ。
ご飯の時間が幸せで幸せで、うふふふふ。」
ありがとう!女神!なんていつも大袈裟に表現してくれる我妻さんに頬が緩む。
「Aちゃんのおかげで苦〜い薬も飲めるよ、ありがとう♡
結婚しよっか♡」
「遠慮させていただきます。」
「えぇ〜〜〜?」
「じゃあ皆さん、何かあればお呼びください。
それと我妻さんはお日様に当たっていて下さいね。
では失礼します。」
3人のお部屋の扉を閉める。
「はぁ……。」
緊張した……。
ため息と共にずるずると座り込む。
目を閉じると美味しい美味しいと喜ぶ我妻さんの姿を思い出す。
喜んでもらえてよかった。
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作者名:あいかわ | 作成日時:2020年4月7日 1時