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赤羽くんがいると考えられるのは、あそこ。
『…あ、やっぱりいた!』
サボり場で、イヤホンをつけ寝ながら音楽を聞いていた赤羽くん。
目は覚めていたようですぐにわたしに気付く。
そして身を起こし、イヤホンを外して不思議そうに聞いてきた。
業「Aじゃんどうしたの?」
『校庭、行くよ』
業「?なんで?」
校庭へ向かいながら、教室で起きたことを赤羽くんに説明した。
業「ふーん、なるほどねぇ」
『不機嫌になった理由は多分、勉強なんてしなくていいって雰囲気作っちゃったからだと思うけど』
烏間先生とイリーナ先生を呼んだのは、ナイフ術とか殺し屋のお仕事で何か聞きたいんだと思う。
でも何で校庭に出たのかは察しがつかない。
さすがにちょっとだけ自信がついた勘の良さも、ここでは発揮できないかぁ…
『それにしても何してるんだろ、サッカーゴールとかどけたりして』
業「なんか大がかりなことするんじゃなーい?」
木にもたれかかって呑気にあくびをする赤羽くん。
わたしは殺せんせーに目を移し、耳を傾けた。
殺せんせーはイリーナ先生に、仕事をするとき用意するプランは1つか聞き、烏間先生にはナイフ術で重要なのは第1撃だけかを聞いた。
…そういうことか、だから殺せんせーは不機嫌になったのか。
ようするに、殺せんせーがわたし達に言いたいのは…
殺「第二の刃を持たざる者は…暗殺者を名乗る資格なし!」
そしてくるくると回りだし、竜巻のようになった殺せんせー。
砂ぼこりや葉っぱが飛んでくる。
『うわっ…!』
目を瞑り腕で顔を守ろうとした。
そのとき、頭の上にフワッと布がかけられた感触がした。
驚いて見ると、赤羽くんの黒いカーディガンがかけられていた。
『…あ、ありがとう』
風のせいで聞こえてるか分からないけど、いつの間にかわたしの目の前にいた赤羽くんに言う。
わたしより断然背が高い赤羽くんは、わたしの前にいるだけで砂ぼこりとかは飛んでこない。
……そういうとこ、やっぱり好きだなぁ…
カーディガンをギュッと両手で掴んだ。
風が収まり校庭を見てみると、ものすごい綺麗になっていた。
殺せんせーは雑草やデコボコを消して平らにしたんだ…
『あ、ありがとう赤羽くんっ』
業「ん、大丈夫だった?」
『うんおかげさまで!』
そして殺せんせーは明日の中間テストで、クラス全員50位以内を取れと言っていた。
…ちょっと無理ゲーじゃない!?
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作者名:スアノ | 作成日時:2018年12月30日 19時