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『お前はすごいよくやった!情けなくなんてないぞ、だって赤羽くんは優しい人なんだから』
業「……え」
わたしはニッと笑って応えた。
赤羽くんは驚きのあまり目をぱちくりさせている。
『赤羽くんが欲しかった言葉、これからはわたしが言ってあげるから任せて』
業「…ははっ」
『え、今の笑うところ!?』
元気づけようと思ったのに元気じゃんか。
なんだつまんないの…
業「ありがとね」
『…いえいえ』
優しく笑った赤羽くんはとても綺麗だった。
もっと好きになっちゃったじゃないか。
照れてるのを隠すように、わたしはパンケーキをひとくち食べた。
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パンケーキを食べ終え、電車に乗り降りたはいいがなぜか赤羽くんも一緒に降りてきた。
赤羽くんは1つ先の駅なのに不思議に思っていたら、送る、と言われ今に至る。
『わ、悪いよ』
業「もう降りちゃったんだから送るしかないでしょ」
『あ…そっか』
業「バカだねー、ほら家まで案内して」
『〜っ!!』
図星をつかれ腹が立つ。
しかも上から目線だしっ!!
隣に並ぶと、余計背の低さが目立つ。
もうちょっとだけ伸びたいなぁ…
業「Aって渚くんより身長小さいの?同じ?」
『うぇっ!?』
わ、わたしの心を読んだ!?
わたしも身長のこと考えてたから驚いた。
『えっと、多分小さい…カエデちゃんよりは高いはず!』
業「ふーん?まぁ俺としては小さいほうがいいかな」
『なんで!?』
赤羽くんのほうを見ると目が合った。
そして、じぃっとわたしの目から目線を逸らさず見られている。
え、な、なんだろう……恥ずかしい…っ!
業「こうやって撫でられるじゃん?」
『うわっ、ちょっとボサボサなるって…!』
ストレートボブのため、結んでいない。
だからすぐボサボサになるのに、わざとぐしゃぐしゃにされたらもっとボサボサになるじゃん!!
しかも撫でるっていうより激しいんですけど。
それでも、ちょびっと嬉しくなる。
業「それにしてもどんな毒薬作ってるんだろうねー、奥田さん」
『…あ、そうだね〜』
いきなり奥田ちゃんの話題になる。
…もしかして、赤羽くんって……
『ねぇ、赤羽くん』
業「んー?」
『……ううん!小テスト満点だったのかなーって思って!』
業「もちろん」
赤羽くんは奥田ちゃんのこと好きなの?と聞こうとした。
だけど、聞けなかった。
もう少し片想いでいさせてください。
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作者名:スアノ | 作成日時:2018年12月30日 19時