桜の花が舞って、

47.桜の花が舞って、 ページ48

鮪side




メンバーにAのとこ行きたいってゆうたら、しょうがないなぁって許してくれて、

スタジオ飛び出して、Aのところに走った。





それから向かったのは、あの国道沿いの桜の場所。

今の季節、ちょうど満開で、とても綺麗だ。




「Aは覚えてないかもしれんけどなぁ、前もこんな感じで喧嘩した後にここ来たんよ、…やっぱり綺麗やなぁ、桜も、Aも、」




あの時恥ずかしくて、言えなかった言葉が自然と零れてゆく。

本当に大好きなんだ、この景色も、あの思い出も、Aも。






A「…覚えてる、覚えてるよ。」


「え、？」




A「初めて俊寛に会った日の事も、」


A「いっつもチョコチップメロンパン食べてて、でっかいヘッドフォンつけて、ちょっと変わってるなって、思った事も、」


A「でも、話してみると、明るくてすごい楽しい人だぁって思った事も、」


A「告白してくれた時の事も、」


A「照れながら、大好きってゆってくれた時の事も、」


A「俊寛達が上京するって言った時の嬉しさと、不安も、」


A「仕事がどんなに忙しくなっても、どんなにバンドが売れても、ずっと私の事忘れないでいてくれた俊寛の優しさも、」


A「喧嘩したあの日も、」


A「この景色も、」


A「全部、全部覚えてるよ。」



「A、」


A「俊寛、大好きだよ、」








桜の花も、君の頬も、僕達の涙も、真っ赤な夕日に照らされて、全部がきらきら輝いて見えた。









桜の花が舞って、君は今、全てを思い出す。




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