31.君だから ページ32
鮪side
思わず泣いてしまいそうになるほど、嬉しかった。
何故なら、こんなふうにAに名前の事をきかれるのが、本当は初めてじゃなかったから。
僕にとって父や母に呼ばれたこの名前は、いつの間にか、ずっと独りだった嫌いな自分を思わせていた。
だから、鮪として生きていく事が楽しかったし、らくやった。
色んな事を思い出さんくて済むから。
でも、その反面でそれはまだ記憶が変わってしまう前のAにはとても寂しいやったんかもしれん。
「「俊寛が遠い存在に感じる事が多なってん。」」
いつか、すごく悲しそうな目で彼女はそう言った。
バンドが売れて行く中で心の距離は変わらずとも、どうしても物理的な距離は埋められない。
2人とも寂しいもの同士やから分かり合えるし、支えあってこれたのに、僕はそれを一瞬忘れてしまっていたんだ。
あんなに呼ばれるのが嫌だったこの名前も、Aに呼んでもらえるから、受け入れる事ができて、好きになれたのに。
やのに、僕はそんな事を彼女に問わせてしまうほど、寂しい思いをさせていた。
こんな事言わせたくなかった。
もっとAを大切にしてあげれていたはずなのにと、後悔した。
それと同時に、僕はAにはちゃんと名前で呼んで欲しいと思えた。
Aに呼ばれていたその名前は、僕のなかで愛おしい記憶になって抹消したくないと感じた。
うとうとしかけているAの横顔をみつめながら、そんな日の夜のことを僕は鮮明に思い出していた。
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adacomanon(プロフ) - ほんとによく出来た物語ですね (2017年11月28日 11時) (
レス) id: e4f7bbe889 (このIDを非表示/違反報告)
ひるね姫(プロフ) - さとさん» はい(^-^)/今までありがとうございました！！ (2016年1月5日 12時) (レス) id: 7b304ed9f7 (このIDを非表示/違反報告)
さと(プロフ) - お疲れ様でした。！ (2016年1月4日 21時) (レス) id: cb58f924dc (このIDを非表示/違反報告)
ひるね姫(プロフ) - 心雨さん» コメありがとうございます！！！可愛いですか!!よかったです(ﾉ)`∨´(ヾ)泣かせてみた甲斐がありました（笑） (2016年1月3日 13時) (レス) id: 7b304ed9f7 (このIDを非表示/違反報告)
心雨 - 説教の部分の古賀が最終的に泣いてしまうのが可愛くて可愛くて仕方がないですww (2016年1月3日 1時) (レス) id: cfc7f44fd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひるね姫 | 作成日時：2015年11月6日 17時
