桜の花が舞って、

30.名前 ページ31

Aside



なんやろ、このふわふわする暖かい感覚は。

幸せ、なんかな。


よくわからんけど、この時が終わって欲しくない。

この会話が一秒でも長く続いて欲しい、なんて。


そんな事を思いながら俊寛くんの横顔をみつめる。


その時ふと思った、私は俊寛くんの事を本当の名前で呼んでいいのかな、と。



鮪「ん？どした？」


「えっ、あ、ううん。」


鮪「何かまた顔あかなってない？大丈夫？」



俊寛くんの手が私の額に触れる。

思わず目を瞑った。

鼓動が高鳴って、心臓がもたない。



鮪「やっぱ上がっとるんちゃう？しんどいやろ？」


「だ、大丈夫。あのね、」


鮪「ん？」


「…私、俊寛の事、俊寛って名前で呼んでいいん？」


鮪「え、」



俊寛くんが大きく目を見開いた。



「雑誌とかネットで見たんやけど、俊寛はなんかその、鮪の面はいいけど、俊寛の面をよく思ってないってゆうか、そう呼ばれるのもしかしたら嫌なんかなって、メンバーもみんな俊寛の事鮪って呼んでるから、」


鮪「…A、僕は、Aには僕の良いところも悪いところもちゃんと見てほしいって思ってた、だからその名前で呼んでいいんよ。Aには、Aだけには、そう呼んでほしい。」



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