検索窓
今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:2,095 hit

スクラップと祝祭日/ Epel ページ44

#



「Aサン!」
「馬鹿、走れ!」

僕が走っている理由は至極単純である。悪魔が追いかけて来るからだ。彼は8つの罪を喰らった。残るはあと一つだ。悲観と名の付いたその石は彼の首に未だ咲き誇り、ブロットを放出し続けていた。隣の監督生は煤に塗れて泣いている。彼は自我の無い悪魔を見上げながら涙を滲ませていた。

「グリムは意地っ張りで失敗ばかりでしたが、絶対に諦めない性格でした。決して悲観せず、他人を思い遣れる、良き友人なんです。」
「知ってるよ。」
「助かりますか。」
「さあ。僕は、数多を殺した事はあれど誰かを救った事が無いから。詰問官にその質問は愚問だ。」
「来るよ!」
お前の首をよこせ(オフ・ウィズ・ユア・ヘッド)!』

まるで人骨を削って出来たビスクドールの様な腕が此方に伸びる。吐いた炎から逃げ回り、マジカルペンに魔力を込める。視界の端ではトレイがユニーク魔法で撹乱していた。全員が魔法を手に魔力と塊と闘う。此処は今や核爆発が起きる程に高濃度の魔粒子が漂っている。魔法というのは電子と中性子の関係、熱伝導の関係の為、高濃度のブロットは高濃度の魔力で中和するしかない。

「セベク!」
「分かっている!」

セベクのユニーク魔法がグリムに向けられる。あの大きな耳でもセベクの魔法は応えただろう。グリムにだけ高濃度の鈴音が浴びせられるが、それも幻聴である為、何処まで持つか。しかし、一瞬でも勝機を逃してはならない。怯んだ一瞬の隙に追加の魔法を浴びせる。グリムの前に幾多のカードが舞い散った。ケイトのユニーク魔法だ。彼のユニーク魔法を侮ってはならない。ただ己を複製するだけでは無いのだ。ケイトは己以外の物も複製する。即ち、この場の魔力濃度が手札の数だけ倍になる。濃厚な魔力の援護射撃により、此方の手札を増やす事に成功した。

「ね、僕、囮になる。」
「え、ぺる。」
「了解。失敗したら本当に死ぬから覚悟を持ってね。」
気に食わない。道を開けろ(キングス・ロアー)!』
「魅力してあげる。ほら、僕が1番綺麗でしょう。」
「エペル!」
「監督生、君は仕上げだ。エペルに任せるよ。ほら、耳を塞いで。」
「ぐおおぉおおおぉぉお"!」

スクラップと祝祭日/ Epel→←ある館の日常/ Deuce


  • 金 運: ★☆☆☆☆
  • 恋愛運: ★★★☆☆
  • 健康運: ★★★★★
  • 全体運: ★★★☆☆


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (5 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
設定タグ:短編集 , twst , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

鵯(ひよどり)(プロフ) - toraさん» 勤勉なる原書様、ご機嫌麗しく御座います。もう一つの方のコメントも大変有難うございます。お気に召していただき光栄に御座います。様々なカテゴリーを無造作に飛び回っていますので、いつかまた貴殿のお気に召す作品を認められたらと思います。 (2022年3月6日 2時) (レス) id: 72d1a498da (このIDを非表示/違反報告)
tora(プロフ) - 何故、星に色がついていないのですか??好き。貴方が書かれる文章とても好きです。 (2022年3月5日 23時) (レス) id: 57d5a3265f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鵯(ひよどり) | 作者ホームページ:  
作成日時:2021年11月29日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。