スクラップと祝祭日/ Epel ページ44
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「Aサン!」
「馬鹿、走れ!」
僕が走っている理由は至極単純である。悪魔が追いかけて来るからだ。彼は8つの罪を喰らった。残るはあと一つだ。悲観と名の付いたその石は彼の首に未だ咲き誇り、ブロットを放出し続けていた。隣の監督生は煤に塗れて泣いている。彼は自我の無い悪魔を見上げながら涙を滲ませていた。
「グリムは意地っ張りで失敗ばかりでしたが、絶対に諦めない性格でした。決して悲観せず、他人を思い遣れる、良き友人なんです。」
「知ってるよ。」
「助かりますか。」
「さあ。僕は、数多を殺した事はあれど誰かを救った事が無いから。詰問官にその質問は愚問だ。」
「来るよ!」
『
まるで人骨を削って出来たビスクドールの様な腕が此方に伸びる。吐いた炎から逃げ回り、マジカルペンに魔力を込める。視界の端ではトレイがユニーク魔法で撹乱していた。全員が魔法を手に魔力と塊と闘う。此処は今や核爆発が起きる程に高濃度の魔粒子が漂っている。魔法というのは電子と中性子の関係、熱伝導の関係の為、高濃度のブロットは高濃度の魔力で中和するしかない。
「セベク!」
「分かっている!」
セベクのユニーク魔法がグリムに向けられる。あの大きな耳でもセベクの魔法は応えただろう。グリムにだけ高濃度の鈴音が浴びせられるが、それも幻聴である為、何処まで持つか。しかし、一瞬でも勝機を逃してはならない。怯んだ一瞬の隙に追加の魔法を浴びせる。グリムの前に幾多のカードが舞い散った。ケイトのユニーク魔法だ。彼のユニーク魔法を侮ってはならない。ただ己を複製するだけでは無いのだ。ケイトは己以外の物も複製する。即ち、この場の魔力濃度が手札の数だけ倍になる。濃厚な魔力の援護射撃により、此方の手札を増やす事に成功した。
「ね、僕、囮になる。」
「え、ぺる。」
「了解。失敗したら本当に死ぬから覚悟を持ってね。」
『
「魅力してあげる。ほら、僕が1番綺麗でしょう。」
「エペル!」
「監督生、君は仕上げだ。エペルに任せるよ。ほら、耳を塞いで。」
「ぐおおぉおおおぉぉお"!」
スクラップと祝祭日/ Epel→←ある館の日常/ Deuce
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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鵯(ひよどり)(プロフ) - toraさん» 勤勉なる原書様、ご機嫌麗しく御座います。もう一つの方のコメントも大変有難うございます。お気に召していただき光栄に御座います。様々なカテゴリーを無造作に飛び回っていますので、いつかまた貴殿のお気に召す作品を認められたらと思います。 (2022年3月6日 2時) (レス) id: 72d1a498da (このIDを非表示/違反報告)
tora(プロフ) - 何故、星に色がついていないのですか??好き。貴方が書かれる文章とても好きです。 (2022年3月5日 23時) (レス) id: 57d5a3265f (このIDを非表示/違反報告)
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