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ひしゃげた鉄塔/ Sebek ページ35

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「……折角御仁方が僕のお付きに君を選んだ。だから君にはある程度、説明する必要があるだろうね。だが、全てを話す事は出来ない。」
「何故ですか!」
「御仁方に許可されていない。一つ間違えば君も御仁方も死ぬ。」
「……分かりました。心得ます。」
「ありがとう。さて、取り敢えず御仁方から賜ったお仕事の説明をしようか。」

簡単に言えば僕達は囮である。生徒の全権を握る生徒会はその実狙われ易い首だ。僕は興味がないけれどね。だから誰かしらが今、僕達を盗み見ても無駄だ。其こそ僕達は罠。主導で動いているのは違う人物である。ただ僕達は待てば良い。謀は得意だ。こうして煙草を吸って何も無い話をすれば良い。足の遅い肉食獣は寧ろ別の肉食獣に喰われるだけだ。

「待っていたよ、エリー。」
「全てはAの計算通り、か。」

室内が暗転する。瞬く間に夜が来た。雷雨の激しさが増す。天候を操るなどという高等芸当が出来る人間など粗存在しない。彼も勿論、その様な芸当が出来る訳では無い。彼のユニーク魔法「星散必中」(ミーティア)による物だ。

「無駄だよ!エリーが1番知ってるでしょ!僕の得意分野をさ!『迷彩』(カモフラージュ)!」
「先輩、地面が!」
「前を見ろ!自爆はせん!」
「は、はい!」
「逆も然りだ!俺はAが妬ましい!末っ子の癖にレオナと親しくて!」
「あははは!だから何?彼は僕が危害を加える事が出来ないと知っているからそう見えるだけだよ、この鳥頭!」

地面が割れて溶岩が噴き上がる。熱気も臭いも光景もまさに其処にあるかの様だった。金に煌々と光る脈も網膜を焼き殺す真紅も全てが本物に見せられる。僕のユニーク魔法は創造の再構成。一つ間違えれば世界も滅ぼす事が出来る。だが、僕のユニーク魔法は感覚、所謂センスにしか作用しないので、理論的に魔法構造に特化して知覚する人間には効かない。

「五月蝿い!俺、は、」
「流石セベクだね。ありがとう。」

相手のユニーク魔法が身体に貫通する前にエリーは気絶し、膝から崩れ折れた。しかし、これではっきりした。監督生潰しを画策しているのは自国の公爵家の人間だ。誰かが学園長に手を貸している。世界滅亡の切札を向こうも切って来たのだから対策を練らねばなるまい。

四角い街、猫の声。/ Ace→←ひしゃげた鉄塔/ Sebek


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鵯(ひよどり)(プロフ) - toraさん» 勤勉なる原書様、ご機嫌麗しく御座います。もう一つの方のコメントも大変有難うございます。お気に召していただき光栄に御座います。様々なカテゴリーを無造作に飛び回っていますので、いつかまた貴殿のお気に召す作品を認められたらと思います。 (2022年3月6日 2時) (レス) id: 72d1a498da (このIDを非表示/違反報告)
tora(プロフ) - 何故、星に色がついていないのですか??好き。貴方が書かれる文章とても好きです。 (2022年3月5日 23時) (レス) id: 57d5a3265f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鵯(ひよどり) | 作者ホームページ:  
作成日時:2021年11月29日 20時

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