昏き空の下で/ Lilia ページ33
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「ほう。」
「中立及び非協力関係を提示されました。」
彼は感慨深げに頷いた。元より王城警備隊のエリート中のエリートである、近衛隊に属する程に実力のある人物だ。出身が文民で無く、貴族の出ではあったが。彼は既に予期していたのか意外を表情に出す事は無かった。完全無欠の微笑が浮かぶばかりである。彼は何やら思い付いたのか机上に片手をつき、身を乗り出した。
「それはまた、滑稽だな。」
「違いありません。」
どん、と鈍い音が響き渡った。実際に雷が生徒会室に落ちたかの様な壮絶な音である。肝の据わらない数名は短い悲鳴を上げたり、気を失ったり、びしゃびしゃに泣いたりしていたが、流石に僕が動揺する事はない。机上には黒く頑丈なナイフが垂直に刺さり、柄には金色のリボンに新たな指輪が結ばれている。
「預かり物だ。」
「……不潔。」
ベージュコーラルの瞼が燭台の炎に当てられて鳳蝶の鱗粉宛らに煌々と黄金に輝く。真紅を象る魅了の瞳が愉悦に歪んでいた。不快乍らも刺さったナイフを引き抜いた。実用性に富んだもので、気に入らなければ殺しに来いとの意図が感じられた。物騒を春風の様に受け流す彼にとって頭を抱えそうになったが、性格が元より逐一文句を垂れる必要性も無い。僕はユーリの淹れた林檎紅茶を一口含んで逡巡する。本来ならば辛い酒が飲みたかったが、そうは行かない。術中に態と嵌りにゆく様な物だからだ。刹那が流れた。僕はぎ、と瞼を押し上げて微笑む。
「それで、如何するか？」
「依頼は全て通す。其れが生徒会の信条です。」
名が腐敗しようが、夕焼けの草原の名門貴族。僕は最大限の礼を尽くす為にカップを置き、背筋を伸ばした。疚しくは無い。歩むのが地獄だという話。親愛と裏切りと噎せ返る腸の臭い。例え邪念の鎖で固められようと纏わり付いた業は剥がれぬ。
「成程。承知した。寮長は全て貴君に倣う。して、全校生徒の長になった気分はどうじゃ？」
「厭な気分だ。僕は優しいからね。」
「クロウリーみたいな事を言うのお。じゃが、まあ。お主以外に適任もおるまい。不屈で傲付く張りで狡賢く無ければ務まらん。」
「はいはい。これから頼むよ、リリア。」
「任せておけ、A。」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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鵯(ひよどり)(プロフ) - toraさん» 勤勉なる原書様、ご機嫌麗しく御座います。もう一つの方のコメントも大変有難うございます。お気に召していただき光栄に御座います。様々なカテゴリーを無造作に飛び回っていますので、いつかまた貴殿のお気に召す作品を認められたらと思います。 (2022年3月6日 2時) (
レス) id: 72d1a498da (このIDを非表示/違反報告)
tora(プロフ) - 何故、星に色がついていないのですか？？好き。貴方が書かれる文章とても好きです。 (2022年3月5日 23時) (レス) id: 57d5a3265f (このIDを非表示/違反報告)
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