Snow and blood 8 ページ17
side→Misumi
目つきを鋭くすると、中堂さんはポツリポツリと話し出した。
中堂「……考えたことはあるか？永遠に答えの出ない問いを繰り返す人生。」
中堂さんが息を吸うのがわかる。
中堂「今、結論を出さなければ、もう二度とこの
人物がどうして死んだのかを知ることは出来ない。今、調べなければ、永遠に答えの出ない問いに、
一生向き合い続けなければならない人生」
少しの沈黙が流れる。
中堂「……そう言う奴を１人でも減らすのが法医学の仕事なんじゃないのか？」
その言葉に反論は出来なかった。
自分の過去と先日聞いた中堂さんの過去を思い浮かべていた。
《数日後》
中堂「鈴木果歩が飛び降りたのはここ」
資料室の机に地図を広げ、中堂さんが”入水地点”と
書かれた付箋を貼る。
中堂「一時間後に遺体で発見されたのはこの地点」
今度は“発見地点”と書かれたものを貼り付けた。
中堂「遺体が海流で運ばれたとしても移動が早すぎる。入水地点と発見地点の海水を採取してきた」
三澄「採取？」
中堂「鈴木果歩が死んだのはどちらの地点か。
まずはそっからだ」
三澄「でも、こことここで成分って変わりますかね？区別できないんじゃ？」
中堂「発見地点には密猟者がやってくるらしい」
三澄「密猟？」
中堂「ああ。天然のウニが山ほど拾える」
三澄「へぇ〜それは羨ましい」
ニヤニヤしていると中堂さんに無言で見つめられた。
三澄「……いや、拾いには行きませんよ？
ただ、夢のような光景だなと思っただけで」
中堂「おい、香坂」
香坂？と疑問に思っていると、一冊の本を持った香坂が現れる。
香坂「入水地点の海からウニは一切取れません」
三澄「あっ、ウニのプランクトン！
プルテウス幼生の数で区別出来るって事か」
香坂が持ってきた本を開き、プルテウス幼生を見ながら声を上げる。
そうしていると、中堂さんがポツリと尋ねる。
中堂「……肺の窃盗の件はもういいのか？」
香坂も、バツが悪そうな表情を浮かべる。
三澄「よくはないです。ただ、鈴木さんのこれからの人生がかかってる。
永遠の問いに区切りをつけて、未来を向けるように出来る事をしたいんです」
Snow and blood 9→←Snow and blood 7
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 138人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
伊織(プロフ) - ミルキさん» 読んでくださりありがとうございます。お気持ちはとても嬉しいのですが、やはりこの作品は、私が試行錯誤を繰り返し、誇りのあるものです。どのくらい参考にされるのかはわかりませんが、作者としてはあまり、気持ちの良いものではありません。本当に申し訳ないです。 (2018年3月31日 14時) (
レス) id: a491ee9abc (このIDを非表示/違反報告)
ミルキ(プロフ) - この作品を参考にして 作品を書いてもよろしいでしょうか？オリジナルも少し書きますが… (2018年3月31日 6時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - ミルキさん» どうぞ！何ですか？ (2018年3月30日 22時) (レス) id: a491ee9abc (このIDを非表示/違反報告)
ミルキ(プロフ) - 伊織さん» 質問してもよろしいでしょうか？ (2018年3月30日 22時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - Kanaさん» 嬉しいです！ありがとうございます、頑張ります(*^^*) (2018年3月20日 23時) (レス) id: a491ee9abc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：伊織 x他1人 | 作成日時：2018年3月5日 22時
