Snow and blood 7 ページ16
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会議室を出ると、検査員に声をかけられた。
検査員「すみません、中堂さんいますか?」
あたりを見回して、彼がいないことを確認する。
三澄「あっ、今席外してますね……どうしました?」
検査員「これ、昨日検査頼まれたんですけど、ナンバーがなくて。システム上決済に回せないんですよ」
検査員の持つ紙を見て、冷や汗が出るのを感じた。
検査員「どうかしましたか?」
三澄「あっ、ビックリした!何にも問題ないです!お疲れ様でした!」
神倉「怪しいな〜?」
急に後ろから所長の声をかけられて驚いたが、
咄嗟に紙を後ろへ隠すと、検査員に会釈をして作り笑いを浮かべる。
その場を誤魔化しつつ、外に中堂さんの姿を目の端に捉えて、ラボから急いで出て行く。
三澄「中堂さん、中堂さん!」
中堂さんの腕を掴んで、検査用紙を中堂へ見せながら言う。
三澄「これ、遺体番号書かれてませんけど、666番鈴木果歩さんの胸腔液の検査依頼ですよね?
……ご遺体、ちゃんと返したんですよね?
まさか他にも?」
中堂「ああ……そういえば、肺をしまい忘れたな」
驚愕の言葉と共に、中堂さんは更に続ける。
中堂「心配するな、保管してある」
三澄「嘘でしょ……あるの?」
中堂「…保管庫まで持ってくよう香坂に頼んである」
三澄「香坂は既にグル…」
あーもう、香坂もそういう倫理観が欠けてるとこあるからなぁと落胆と納得を覚えつつ、
そのまま中堂さんを引っ張って解剖室へ連れて行く。
保管庫を開けると、中堂さんは裏向きになっているバケツを取り出し、解剖台の上に置くと、バケツの表にはしっかり、666の番号が書かれている。
三澄「……これ、窃盗ですよ」
中堂「俺は警察のやつらに、『遺体を閉じて返せ』と言われた。だから言われた通りに返した。
だが、取り出した肺を体に戻せとは一言も言われていない」
そう言って中堂さんはグローブを解剖台へ投げ捨てた。
三澄「へ理屈……」
中堂「プランクトン検査の結果は?」
三澄「か、海水の成分は検出されましたが、特にめぼしいものは出ていません」
中堂「現場の海水と比較が必要だな」
中堂の執拗な態度に、疑問を覚える。
三澄「まだ調べるつもりですか?
中堂さんは個別の案件に深入りするタイプじゃないと思ってました……
どうしてそんなに? 納得のいく説明をしてください」
中堂「…….考えたことはあるか?永遠に答えの出ない問いを繰り返す人生」
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伊織(プロフ) - ミルキさん» 読んでくださりありがとうございます。お気持ちはとても嬉しいのですが、やはりこの作品は、私が試行錯誤を繰り返し、誇りのあるものです。どのくらい参考にされるのかはわかりませんが、作者としてはあまり、気持ちの良いものではありません。本当に申し訳ないです。 (2018年3月31日 14時) (レス) id: a491ee9abc (このIDを非表示/違反報告)
ミルキ(プロフ) - この作品を参考にして 作品を書いてもよろしいでしょうか?オリジナルも少し書きますが… (2018年3月31日 6時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - ミルキさん» どうぞ!何ですか? (2018年3月30日 22時) (レス) id: a491ee9abc (このIDを非表示/違反報告)
ミルキ(プロフ) - 伊織さん» 質問してもよろしいでしょうか? (2018年3月30日 22時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - Kanaさん» 嬉しいです!ありがとうございます、頑張ります(*^^*) (2018年3月20日 23時) (レス) id: a491ee9abc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊織 x他1人 | 作成日時:2018年3月5日 22時