53話 ページ3
「このボールペンの使い方は？」
カチャッ
「はい。
じゃぁ、６×２は？」
「12です。」
「‥‥平和の象徴？」
「誰ですか？」
(警察かなにかかな？)
「‥‥日常生活には支障はないので、退院は出来ます。‥‥ですが記憶が戻るのは個人差があります。急に戻る人もいれば、ゆっくりと戻る人もいます。焦らず、頑張りましょう。」
「‥‥はい。」
記憶を失くしたA。何も知らない場所に1人。耐えられるかどうかが不安になってくる。
自分が覚えてないせいで、傷つく人がいたら‥‥そう考えるととても心が痛くなった。
(私‥‥此処にいても、いいのかな？)
「おい。」
「は、はい！」
無言で見つめるつり目の怖い人。
私、この人と友達だったんなら、そうとうヤンチャしてたのかな？
なんて失礼なことを考えるA。
「名前、教えて貰ってもいいですか？」
そう問いかけるが
「あァ？」
キレ気味の声が返ってきた。
(こわっ！)
「だっ、駄目でした？」
「‥‥チッ
爆豪 勝己だ。」
「爆豪‥‥勝己」
なんだろう‥‥
なんか、懐かしいような、苦しいような
変な感じ
「かっちゃん‥‥」
「はっ‥‥？お前‥‥覚えてんのか？！」
「ううん‥‥でも、なんか懐かしいの。
よく分からないんだけどね‥‥。」
「‥‥。」
‥‥
無言、辛いな。
何か聞くべきなのかな？
前までの私とか
かっちゃん？とは友達だったのか。
私の家族ってどんな人なのか。
目まぐるしく回る言葉の数々。
何をどう伝えるのか分からなく混乱するA
そんな混乱を救うかのごとく
「A‥‥、大丈夫か？！」
誰だろ？
全身黒色だ‥‥。あれ、なんだろ。マフラーかな？ポケーっとやって来た人を見つめるA。
「先生。」
「爆豪‥‥お前も来てたのか。」
「うっす。」
先生‥‥。
かっちゃんの先生なのかな？
「調子はどうだ。A。」
「‥‥えっと」
「どうした？」
名前、名前は‥‥
私、この人とどういう関係なかな？
私の先生とか？
「先生。
コイツ‥‥榊は記憶がないんです。」
爆豪から発せられた予測不能な言葉に思わず目を開き
「‥‥そうか。」
実感のわかない声色。
あぁ、また悲しませた。
私、最低だ。
自己嫌悪の連鎖。知っている人と会う度に締め付けられる心。
早く思い出さなくちゃ。
知っているような感覚はある、けど思い出すことが出来ないむず痒さ。
「相澤消太だ。お前の親戚で兄さんとよく呼ばれてた。呼び方は好きにしろ。無理強いはしない。」
「ありがとう‥‥ございます。」
その親切な言葉も今はただ心苦しいとしか感じられなかった。
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雪麗（受験生）(プロフ) - ドキドキしてくださってありがとうございます！！応援ありがとうございます！更新頑張ります!!!!!!! (2017年7月24日 8時) (
レス) id: 21d87858eb (このIDを非表示/違反報告)
詩人 - し。しがらきがでてくるとわ、、、！！すごくドキドキです！！続き、頑張ってください！ (2017年7月23日 11時) (レス) id: 600a3b2602 (このIDを非表示/違反報告)
雪麗（受験生）(プロフ) - 雪猫さん！ありがとうございます！これからもドキドキハラハラできるように頑張ります！！ (2017年7月23日 5時) (レス) id: 21d87858eb (このIDを非表示/違反報告)
雪猫 - ドキドキハラハラ！とても面白いです！更新頑張ってください！ (2017年7月23日 0時) (レス) id: 3836a6783c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑 | 作成日時：2017年7月13日 20時
