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「Aちゃん。
待ち合わせかな?」
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そう声をかけてきたのは
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『.....那須くんも、待ち合わせ?』
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紛れもなく
那須雄登...で
ああ....ちょっとね
と気まずそうな顔をする那須くんに
どう声をかけるべきか悩む。
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「俺は今から、
父親の女とその娘に会うんだけど
もしかしてAちゃんも同じ理由だったりする?」
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もう、分かっているくせに
わざと嫌味っぽく言う那須雄登に
『私は母親の男の息子を迎えに来たのよ。』
と冗談を返すと
俺ら、目的地が同じみたいだね
と優しく微笑み返される。
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特に何も話さずに
2人で自宅へと歩き始める。
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隣の那須雄登の
横顔を見つめていると
ふいに視線がふつかった。
未だ逸らさずにいると
俺、穴空いちゃう
と真剣な顔して言うもんだから
不覚にも笑ってしまう。
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『那須くん、知ってたの?』
「.....いや、何も。」
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俺とあの人、
繋がってんのは血だけだから。
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遠くを見つめて言った
那須雄登のひとことは
私が想像していた以上に
弱くて、脆くて、
私と一緒だね と
沈み掛けの夕日の影に
目を落としながら呟いた。
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作者名:ナミ | 作成日時:2018年6月15日 23時