Dendrobium (ページ17)

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着いたよと
飛貴からのメッセージに
ローファーを履いて
玄関のドアを開ける。

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「....A、おはよ。」

『おはよう。』

いつもならヘニャっと
笑いかけてくれる飛貴が
なんだか浮かない顔をしていて

そういえば、昨日
飛貴からすごい量の連絡が来てたかな
なんて急に申し訳なくなる。

『....昨日、ごめんね。』

「ああ、いいよ。大丈夫だった？
心配したんだからね。」

謝ってみたものの
まだ浮かない顔。

なにか気に触れることしたかしら。

.......那須、はないな。
まだ飛貴にも言ってないし言えないし。

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ひとりであーだこうだ考えていると
飛貴が急に口を開く。

「さっきさ、那須
みたいな後ろ姿見たんだけど。」

「.....やっぱ、俺の勘違いかも。」

ごめんね、Aちゃん。
そんな不安な顔しなくて大丈夫だよ。

なんて

いつもみたいに
優しく頭を撫でる手に
罪悪感が募る。

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ごめんね、飛貴。
まだ言えないや。

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「A、今日顔色いいね。」

『そう？朝食食べたからかな。』

「珍しいね。家に誰かいるの？」

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『.....いないよ』

「ふ～ん。そう。
毎日食べなさい。」

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分かりましたか～？
とふわふわした笑顔で
飛貴が笑いかけてくる

ああ、また嘘をつくのが
上手くなってしまった。

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飛貴の目を見れなくて
下を向いて歩いていると

右手が飛貴の左手と繋がれる。

『.....飛貴～。もう学校着くよ。』

「え～ダメ？？
どうせ勘違いされてるんだし。」

『ほんともう。』

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さり気ない飛貴の優しさに
これまで何度救われただろう。

私なんかには、勿体無い。

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