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「Aちゃんの匂いがする。」
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ふかふかじゃ〜ん なんて
人のベットにダイブした那須は
学校でのイメージとは大分かけ離れていて。
いつも余裕そうに笑ってるのに。
なんて、思わず頬が緩む。
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『....てか、ほんとに寝んの?』
「もちろんでしょ。」
『私下で寝るよ。』
「え?浮所以外の男とも寝てんじゃん。
平気でしょ。そんなもん。」
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突然落とされた爆弾に
思考回路が停止する。
誰にも知られていなかった
飛貴にさえ言えなかった自分を
何故彼が知っているのか。
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なんで.....?と呟くと
ああ、見ちゃった。夜の街で。
と先ほどと変わって
いつもの余裕そうな顔で私を見つめる。
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「見ちゃったんだ。偶然。ホント。
浮所といつもいる子に似てんなって。
やっぱりビンゴだった?」
ほんとこれ、いいベットだね〜
と人のベットにゴロゴロして。
でも、それって
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『なんで?那須は。』
「オレ?そんなもん、Aちゃんと一緒だよ?。」
『.....一緒?』
「外ではいい子、家では知らないフリ、
どうにもこうにも溜まったストレスは
クセになる快楽で解消.....って違う?」
「疲れちゃうよね。ホント。
でも、やめられない。」
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____「Aちゃん。どうしたの?」
自嘲したように笑う那須が
今にも消えちゃいそうで
どうも自分と重なって
気づいたら那須くんを抱きしめていた。
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『那須。消えちゃいそうだから。』
「そうかなぁ。Aちゃんもだけど。」
『強がりなのね。』
「Aちゃんもね。」
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私は、飛貴に抱きしめられるのが好きだ。
ふわっと飛貴に包まれた香りに
すごくすごく安心を覚えるから。
けれど、那須を抱きしめた時
那須の温度を感じて
心まであったかくなってしまった気がした。
誰に抱きしめられても
誰に名前を呼ばれても
心は全然暖まらなかったのに。
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こんな温度、全然知らない。
知っちゃいけない温度だ。
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「もっと、綺麗に生まれて
綺麗に生きたかったね。」
そう呟いた那須の顔は
見えなかったけれど
とてもとても儚くて
私を抱きしめる
那須の腕の力が少し強くなった。
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作者名:ナミ | 作成日時:2018年6月15日 23時