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部屋の中から少しカーテンをめくってベランダを覗き見ると
ちょっと緊張してそうな、でも嬉しそうな顔で喋ってるAがいて。
北人「はあ、何やってんだろ俺。」
自分から背中押しといて後悔するとか女々しすぎるだろ。
それからAは話が盛り上がってるのかなかなか部屋に帰ってこない。
北人「……長ぇよ」
そう思いカーテンをめくってベランダを見る。
北人「……え」
そこにはさっきの表情とは違い目にうっすらと涙を浮かべてるAがいて。
北人「……」
しばらく呆然としてるとAが電話をきった様子でこっちに戻ってくるのが見えた。
俺は慌てて何事も無かったかのようにさっきまでAを見ていた目線をテレビに戻す。
ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ
北人「どうだっ A「北ちゃん！！！」…え？」
開いたドアを見るとそこには目に涙を浮かべながらも笑顔のAがいた。
A「……付き合うことになったよ」
数秒ためてそう言ったAの表情は何十年と一緒に過ごしてきた俺が見たことない
今までで1番綺麗なAの笑顔だった。
少しの時間圧倒されて無言になった空間に俺が小さいながらも"おめでとう"と呟くと
Aは堰を切ったように大粒の涙を流しながら俺に抱きついてきた。
北人「……ほんとにおめでとう」
そう本心じゃない言葉を言うとさらにAの涙は溢れて止まらなかった。
━━━━━━━━━━━━━━━…
20分ほど経つと泣き疲れたのかAは寝てしまった。
このまま床に寝させるのはなあ……と思いベットへと移動させる。
北人「ふぅ…」
ベットに移動させてAの寝顔を見ると不意にさっきの表情を思い出す。
北人「………綺麗だったな」
そう呟いてしまうほどの綺麗さだった。
あの表情をさせたのは紛れもなくあいつの想い人……いや、彼氏で。
そう思うとなんだか吹っ切れたような気持ちになった。
北人「……最後にひとつだけ、」
そう言いながら寝ているAの額に唇を付ける。
………諦め、ついたかな。
もう一度Aの顔を見ながら
北人「……ほんとに、おめでとう」
そう笑顔で心から呟いた。
吉野北人 "額へのキス" ⇋ "祝福"
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作者名：ぱぱんだ | 作成日時：2020年4月22日 2時
