過去の記憶 ページ4
『刺されて、倒れた後の記憶。全部思い出した。』
あの日、あの夜
私が刺された後
息の根を止めようと、もう一度刃物を振りかざす通り魔
今度こそ殺される…。
お腹の激痛で意識が薄れて行く中で、そう思った
刃物が振り下ろされる瞬間、私と通り魔の間を、何かが割って入った
ドスッという刃物が刺さる独特の音
私を庇ったのは、他の誰でも無いシゲだった
あの時が、初めましてだったのに
彼は私を守ってくれた
ドサッと鈍い音がして
私の隣に倒れこんで、そのまま転がっていた私の防犯ブザーを引っ張った
無機質な音が、夜の街の細部まで響き渡る
その音に驚いたのか、通り魔はそのままどこかに消えていった
血だらけで倒れている2人だけが、電灯のぼんやりとした灯りに照らされる
『なんで……っ…。』
重「ふっ…ハ…なんでやろなぁ。体が自然に動いてん…イッ…っ。」
私の血かそれとも彼の血か、私たちを囲むように出来る赤い赤い血溜まり
重「目、開けとけよ。閉じたら…っあかんからな。」
視界がぼやけてくる中で聞こえる彼の声
それが突然
聞こえなくなった
彼の荒い息づかいもいつの間にか
途切れていた
私も目を開けているのが限界に近くなって来て
「大丈夫ですか？！！しっかりして下さい！救急車呼びますからね！」
通行人の人が駆け寄って来た後、意識を手放したんだ
『ごめっ…ごめんなさいっ。』
未だに口を開かない彼の姿が、歪んでいく
彼を忘れていたことに対しての罪悪感と
知らなければ良かったと思ってしまう自分勝手な感情が
情けなくって、涙が溢れていた
重「…ごめんやなくて、ありがとうって言って欲しい。」
その言葉に驚いて、顔を上げると
私の目の前に彼が座っていて
重「俺はAを庇ったこと、後悔してへんから。せやから、もう泣くな。」
そう言っていつも通りの笑顔で微笑んだ
『ありがとっ…シゲっ。』
私は彼に何回支えられて助けられたんだろう
ずっと一緒にいたい、2人で同じ道を歩いていたい
夕日が彼の輪郭を柔らかくかたどる
でも、床に現れるシルエットは、1つしか映されていなかった
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shihok0712(プロフ) - 気が付いたら涙がら流れてました。目に見えて、普通に会話し合える背後霊なら、一緒に居て楽しいやろなぁ。唯一亡くなる前に通り魔から庇うしげちゃん、男気半端ないですね！ (8月20日 20時) (
レス) @page37 id: ebf12df227 (このIDを非表示/違反報告)
千歳あめ - はじめまして！この作品読んでボロ泣きしました。いい話過ぎます……！ (2023年3月26日 22時) (レス) @page35 id: a0f783b703 (このIDを非表示/違反報告)
ふーか。(プロフ) - とても面白かったので続編待ってます!勉強も更新も頑張ってください。 (2019年12月8日 6時) (レス) id: 2aef7cd3bd (このIDを非表示/違反報告)
おず(プロフ) - 続き、嬉しいです待ってました！楽しみにしてますね (2019年11月9日 15時) (レス) id: bc6c17b8f8 (このIDを非表示/違反報告)
bbjaniyokoyuzu(プロフ) - 涙止まりませんでした！！！続きお待ちしてます!!!!!!! (2019年5月7日 20時) (レス) id: c52be9df5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚菜 | 作成日時：2018年1月22日 20時
