赤色 ページ1
再び部屋に起こる静寂
さっきと違うことは、私しか部屋にいないことと、
割れるように頭が痛いこと
鍵のかかった記憶の箱の中から、何かが必死に出ようとしてるみたい
シゲ…どこ行ったの？
ガンガンなる頭を押さえながら
彼が“どこにいるか”を突き止める前に
靴を引っ掛けて外に飛び出していた
道を歩いている人の視線が痛い
まぁ、街の中を全力疾走している人なんて中々いないだろう
無意識に足を向けたのは流星の家
もしかしたら、シゲは、また彼の家にいったのかもしれない
だんだん息が苦しくなってきて、足がついていかなくなった時
ポケットに入れっぱなしだった携帯から、着信音が鳴った
足を止めて息を整えながら、表示されていた名前を見ると
“流星”の 2文字
『もしもしっ流星？あのっ「あー。A？って、どしたん？」！』
声が被ってしまったが、私が焦っているのは伝わったらしい
『そっちにシゲいない？』
「今さっき、淳太の家に集合って、濱ちゃん連れてったで。
シゲとなんかあったん？あいつ凄い焦ってたように見えたんやけど。」
すぐさま、淳太くんの家の方向に向きを変えて、走りながら状況を説明していると
あの広場の大木が目に入った
夕日に照らされて、木が真っ赤に染まっているのを見た瞬間
何かが弾けた感覚とともに
治まりかけていた頭痛が一層激しくなる
『イッ…っ。』
思わず持っていたスマホを落としてしゃがみこむ
地面に物が落ちた無機質な音とともに
「A？おいっ、A！！！」と電話越しに聞こえる流星の声
でもそんなの頭に入って来なくて、私の記憶をかき出すように入ってくるのは、目の前の大木の赤い色
『うっ…くっ…。』
記憶の箱がどんどん開いていく
1年前の赤色…覚えてる。でも覚えてるのは、こんな綺麗な赤じゃなくって、刺されて倒れた私を取り囲むように床を染めていく
おびただしい量の血の色
記憶の箱が完全に開いた
私を見下ろして、刃物を振り下ろそうとする通り魔
それを止めようと、血がでてるのにも関わらず必死の形相で走ってくるのは…
シゲ…。
やっぱり、貴方が助けてくれたんだね。
『シゲ…ごめんね。』
そう呟いて私は意識を手放した
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shihok0712(プロフ) - 気が付いたら涙がら流れてました。目に見えて、普通に会話し合える背後霊なら、一緒に居て楽しいやろなぁ。唯一亡くなる前に通り魔から庇うしげちゃん、男気半端ないですね！ (8月20日 20時) (
レス) @page37 id: ebf12df227 (このIDを非表示/違反報告)
千歳あめ - はじめまして！この作品読んでボロ泣きしました。いい話過ぎます……！ (2023年3月26日 22時) (レス) @page35 id: a0f783b703 (このIDを非表示/違反報告)
ふーか。(プロフ) - とても面白かったので続編待ってます!勉強も更新も頑張ってください。 (2019年12月8日 6時) (レス) id: 2aef7cd3bd (このIDを非表示/違反報告)
おず(プロフ) - 続き、嬉しいです待ってました！楽しみにしてますね (2019年11月9日 15時) (レス) id: bc6c17b8f8 (このIDを非表示/違反報告)
bbjaniyokoyuzu(プロフ) - 涙止まりませんでした！！！続きお待ちしてます!!!!!!! (2019年5月7日 20時) (レス) id: c52be9df5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚菜 | 作成日時：2018年1月22日 20時
