[SN]パレットから描く日々を (ページ11)

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俺が今まで甘えてたというか、やってなかったのもあるけど…Aは自分で出来ることを何でもやりたがる

｢ほら、いいから座っといて？俺だって朝食くらい作れるって｣

｢なんか心配、だから見てる｣

｢…なら、パンをトースターに入れといて｣

俺が頼むと、やっぱ嬉しそうにするA
だから俺の方が歳上なのに、頼る癖が出る

｢すぐに出来っから座っとけっての…くっつくな、こら｣

｢横にいるくらいいいじゃん｣

サラダとか、スープとか…簡単に作れる物ばっかだけど作ってお皿に盛り付けて
焼けたトーストにバターを塗り終えたら、何も言ってないのにグラスを持って
俺が大好きなレモネードを入れてくれるA

｢よし、じゃあ食べようか？｣

｢…おう、本当にお前って俺のことわかってんだな｣

リビングにご飯を運んで、椅子に座って言う
俺ばっかり頼るのはもうやめたくて、どう伝えるべきか迷いながら黙々と飯を食べる

｢そりゃあ、大好きだから…私だって感謝してるよ？少し前までは敬語抜けなくて…その度に俺の彼女なんだから敬語はいらないって、あれ結構嬉しかったなぁ｣

｢でも…呼び方は今でも照さん、なんだな｣

｢だって、歳上だから…照さんはやっぱり呼び捨てのほうがいいの？｣

俺はふと、食べる手を止めて考えるけど…伝えたい事をまとめてたし、俺の事を頼ってもらえるための方法も一緒に思いついたから少し笑った

｢んー、"まだ"そのまんまでいいかな｣

Aは首を傾げつつも、一緒に飯を食べ終えて食器を片付けた

｢やっぱり気になるなぁ、呼ばれたい呼び方があるならすぐ呼ぶのに｣

隣に立ったAの方を見て、俺は笑いながら言った

｢…そういう意味じゃなくて、変わる日が来るの知ってるからだよ、俺は今までAに頼りっぱなしで照さんとか言われるような器じゃないと思ってた…けどさ｣

そっと、優しくAの膨らんできてるお腹を撫でると驚いたけど、意味がわかったんだろうAは俺の目を優しく見つめた

｢これからは、俺の事もっと頼って欲しいから…辛いとか不安だとかすぐに言って欲しい、頼りないかもしれないけど全力で支えるから、出来ることめいっぱいする…だからこれからも俺の隣にいてください｣

｢うん、もちろんだよ…パパ｣

優しく後ろから抱きしめて、甘いレモネードの香りが包む
丸い月の半分みたいに、Aは俺の大切な奥さんだって…俺は胸を張って言えるよ