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ぼうっとしていると、画家さんが絵の具をキャンバスに重ねながら話を続けた
「私は人の心も空模様のように複雑だと思うんですよ、特に恋を取り上げて描くのは恋をしている人の心が1番ややこしいと思うからですね…お客さんも、どこか悩んでいらっしゃるみたいですが…」
「えっ、おっ俺が…」
ぼんやりとしていたのに核心を突かれてハッとなって画家さんを2度見してしまった
「ふふふ、そんなに驚かなくても…先程人の名前を呟いていらっしゃったので、恋されているのではないかと思いまして」
「呟いちゃってましたか…その、俺って酷いやつですから…恋とかそんな綺麗なものじゃ」
優しい声で話される度に、俺は口ごもってしまう
それでも画家さんは首を横に振って俺を励ますように言った
「恋というものはいつでも綺麗な感情という訳ではありませんよ、私だって綺麗な感情であったと言えるような恋をした事はあまりありませんから…お客様は、お相手の方をとても大事に思っているご様子でしたし…」
「それは、相手が失恋した後だから…俺、あいつが別れた奴と付き合う前から色んな相談受けてて…その内に好きになって、別れたから…告白しようとかそんな卑怯なやつなんです!勇気とかなくて…」
つい、きつい言葉を初対面の人に言ってしまったと口元をさわる
「卑怯、ですか…でも少しでも告白する勇気が出たなら自分はそこで告白しようと思います、相手が吹っ切れて別の人に行っちゃう前に、言ったじゃないですか…天気と人の心って複雑だと、ならば変わる前に自分で動かなければ…私はこの油絵のように上から塗り替えてしまいますね」
そう言って、作者さんは描いていた作品の空の色を曇り空から青空へと塗り替えていった
「…ね、貴方も勇気をだして塗り替えに行ってみてください、雨の後に虹が出る事を祈っています」
「ありがとう、ございます…俺、ちょっと頑張ってみます」
「いえいえ、よかったらまた来てください!しばらくここでやってるんで」
俺は画家さんに傘までもらって入口まで歩いていく
「では、これで…ありがとうございました!」
「いえいえ、…私みたいに上手く塗り替えられない人にならないでくださいね」
「…え?」
「ふふふ、なんでもありません、お気をつけて…」
俺は好きな人の色の傘を貰って、告白の準備をしに街へと歩き出した
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空屋(プロフ) - Sa☆☆さん» 喜んでいただけて嬉しいです、続編にて話の解説をしていますので是非続編も読んでいただけると嬉しいです、またのリクエストお待ちしています (2019年6月4日 10時) (レス) id: 8e09062377 (このIDを非表示/違反報告)
Sa☆☆(プロフ) - 太陽のクラウン、感動しました!誰のことか想像できてしまって涙が、、、 (2019年6月4日 8時) (レス) id: 0289ad8d0b (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむ(プロフ) - こちらこそありがとうございます!!楽しみに待ってますのでよろしくお願いします!! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 89ba9725ca (このIDを非表示/違反報告)
空屋(プロフ) - ちゃむさん» ちゃむ様、2度目のリクエストありがとうございます!大丈夫ですよ〜!黒色でもストーリーの基盤を教えてくださったのはとてもありがたいです!今、話の量がかなり多くなってきたので、続編での制作になるかもしれませんが喜んでお書きします (2019年6月3日 17時) (レス) id: 8e09062377 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむ(プロフ) - だから康二くんが自分以外に興味を持たなければこんなに不安になったりしないんじゃないかと思い仕事終わり家に連れて行き……みたいな話で2作品とも康二くん受けでお願いしたいのですが大丈夫でしょうか? (2019年6月3日 13時) (レス) id: 89ba9725ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空屋 | 作成日時:2019年5月29日 1時