[SN]Bonbons blancs et noirs

涙を塗り替え虹は咲く sk×ab[白] ページ25

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バラバラ、と突然降り出した雨に焦りながら上着で頭を覆いながら、近くにある建物の屋根の下へと入る



｢ふー、やべぇ…結構濡れちゃった｣



髪からポタポタと落ちる雫を見て、前髪をあげて建物の壁にもたれる、予報よりも早く降り出した雨にどうしようかと悩んでいると、建物はギャラリーになっていることに気がついた



｢展覧会、かあ…｣



絵なんてマンガやアニメキャラの物しか見てこなかった俺だったから、楽しめるかどうか不安だったけど入場無料だったから試しに入ることにした

雨という事もあり、中にはあまり人がいなかったけど俺にとっては落ち着いて見ることの出来る雰囲気になってて、ゆっくりと絵を眺めた



｢…不思議な雰囲気、明るいような切ないような｣



俺は1つの絵の前で立ち止まった、今みたいな雨空の下でパン屋を出たところの女の人が2本の傘を手にかけて2本のフランスパンが入った袋を抱えている…その目は見る人じゃなくて、横を見ていた



｢タイトルは…変えない日々、かぁ…｣



まるで今の俺みたいだ、ずっと1人を追いかけて、アプローチを続けてる…叶わないって諦めきれない心がずっと胸の中にあるままで



｢あれ…？ここにある絵、全部天気に関係してる…？｣



ゆっくりと歩いて回ると、絵はどれも人と建物の少ない風景にキャンバスのほとんどを空が占めていた

更に歩いていくと、ギャラリーの奥に作家さんらしき人がキャンバスに絵を描いていた、思わずじっとその作業を見つめてしまっていた



｢ふう、っんんんー…おっと、お恥ずかしいところを…！いらっしゃいませ、ご来館いただき誠にありがとうございます！｣



一作業終え、伸びをした画家さんは俺に気づいて顔を赤くして挨拶をした



｢あ、いえ…その、作者さんの絵は空というか天気に関する絵が多いんですね…｣


｢ええ、空が大好きなんです…不思議な魅力を小さい頃から感じていました、とても大きくて色々な色に変わって、様々な物が浮かんでたり落ちてきたり…人はそれを予想したり名前をつけたりと面白い事をさらに面白くしていると私は思うんです｣



ニコニコと空や天気について語るその菅田が、僕は大好きな人と重なった
真面目で頭が良くて、俺にはできない天気予報をして、時に子供みたいにはしゃぐ
…阿部ちゃん

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