美味しいトマト:fkr ページ7
you_side
ぐったりとした表情でソファに座る彼氏
まあ理由は十中八九野菜が原因だなと言うことは長年の付き合いで察していた
｢今日は野菜で何があったの？｣
『…トマト』
｢トマト…食べさせられたの？｣
私の問いに力なく頷く彼氏は、大の野菜嫌いだった
私は別に野菜が嫌いでは無いのでデートの時は代わりに食べてあげたりしているのだけれど
彼の仕事仲間は彼に野菜を食べさせるのが好きらしい
｢拳、トマト嫌いだもんね｣
『野菜は全般無理』
｢克服すら出来そうにないもんね…色とか味とか関係なく野菜は嫌だって…ポテトチップスは食べるのに｣
『ポテトチップスは晩ご飯だと思うから、野菜は草の味がする』
小学生か？と思う発言をする拳にぎょっとした顔をしてしまうが、彼は頭がいい
｢…あ、そういえば｣
私はある事を思い出して、鞄の中に入れていたメイクポーチを開いてリップを出す
やっぱり、と思いそのリップを塗る
｢ねえ、拳｣
『…何、ん？何で家の中で口紅塗ってるの？しかも結構ハッキリした赤』
｢この色、トマトレッドって言うの！…嫌い？｣
ソファでうずくまってた拳は顔を上げて私を見ると、視線をじっと私の唇に向けた
｢ちょっと、あんまり黙って見てないで何か言ってよ｣
すると、ぐっと近づいてきて抱き寄せられると思った時だった
唇が重なって、深く口付けられる
｢んっ…！｣
離れようと思っても、拳は結構がっしりしていて敵わない
｢っ…はぁ、はぁ…｣
『うーん…嫌いでは無いけど、やっぱり色が着いちゃうか』
息を整えて拳を見ると、拳の唇には私の唇が薄らと着いていた
『まぁ、嫌いなのは野菜であってAの唇ではないので、これは誘ってると見ても良いって事かなぁって…違った？』
いつもの優しい雰囲気とは違って、意地悪な表情で私を見つめる拳
｢…バカ、こんな事して！晩ご飯も野菜ばっかにしてやるから！｣
『えっ、それは』
｢何、文句言わせないから｣
『いや、それはつまりAをトマト代わりに食べればいいと？』
｢はっ…！？｣
淡々と答える拳に、思わず体も言葉も止まってしまう
変わらずに笑みを浮かべる白い服来た天使のようなとんでもない奴は
私より1枚どころか何枚も上手だと彼の胸の中で気付かされる事になった
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エリッサ(プロフ) - もうお任せします！！ (2020年4月7日 3時) (
レス) id: 31771c3fff (このIDを非表示/違反報告)
空屋(プロフ) - リクエストありがとうございます！関係性やお話の内容等にご希望はありますか？もしなければ私が色に合わせてお書きしますね (2020年4月7日 0時) (レス) id: 8e09062377 (このIDを非表示/違反報告)
エリッサ(プロフ) - 初めまして。かわいいお話が多くて素敵ですね！カナリア色でいizwさんのお話を書いてほしいです。もしよろしければお願いします。 (2020年4月5日 21時) (レス) id: 31771c3fff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空屋 | 作成日時：2020年3月12日 14時
