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短剣を、収めていた鞘からそっと出す。
この鬼に、とどめを刺さなくては。
たぶん、私の家族を殺したのはこの鬼じゃない。匂いが違うから。
でも、止めを刺しておかないとまた人を襲う。だから、わたしがやらなくちゃ。
やれ、やれ、やれ、やれ!!
「 __そんなものでは止めを刺せん 」
天狗の面をつけた男。そのしゃがれた声が私の背後からそう言った。...この人、足音がしなかった。
「 ど、どうしたらとどめをさせますか? 」
「 人に聞くな。自分の頭で考えられないのか 」
そう言われて、考える。
そうだな、刺してダメなら潰すしかない。
大きい石を持ち上げる。
...頭骨を砕いて完全に潰すにはやっぱり何度か石を打ち付けないと。苦しむよね。一撃で絶命させられるような方法はないのかな...。
「 あっ 」
悶々としていたら、夜が明けてしまった。
明るい陽射しが差し込み、私たちを照らす。
「 ギャアッ 」
すると、陽の光を浴びた鬼が苦しみ始め、火がついて燃える。...陽に当たっただけであんなことに!?禰豆子が嫌がるはずだよね、そりゃあ。
ふと、天狗の面をつけた人を見ると殺された3人を埋葬してくれていた。もしかして、あの人が。
「 あの... 」
「 儂は鱗滝左近次だ。義勇の紹介はお前で間違いないな? 」
「 は、はい。竈門陽炭といいます。妹は禰豆子で、 」
「 陽炭 」
私の声を遮って、鱗滝さんは私の名前を呼んだ。
「 妹が人を喰った時、お前はどうする 」
その言葉に、絶句した。
禰豆子が人を喰べる?そんなこと、考えたことがなかった。だって禰豆子はそんなことしないと信じて疑わなかったから。
何も言わないでいると刹那、右頬に鋭い痛みが走る。打たれた、と気づくのにそう時間はかからなかった。
「 判断が遅い 」
私を平手打ちした鱗滝さんは一言、そう言った。
「 お前はとにかく判断が遅い。朝になるまで鬼に止めを刺せなかった。
今の質問に間髪入れず答えられなかったのは何故か?お前の覚悟が甘いからだ。
妹が人を喰った時やることは2つ。妹を殺す、お前は腹を切って死ぬ。鬼になった妹を連れて行くとはそういうことだ。
しかしこれは絶対にあってはならないと肝に銘じておけ。罪なき人の命をお前の妹が奪う。それだけは絶対にあってはならない 」
儂の言っていることがわかるか、と言われて元気よく返事を返す。覚悟、か。
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作者名:あるみかん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=48be83eaada675e79ed496ea5cdf8f4f...
作成日時:2019年8月8日 19時