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鬼舞辻無惨
いきなり、肩を掴まれた。
そして、この私の肩を掴んだのは__鬼狩り。あの忌まわしき隊服を着た娘が、憎しみを隠しきれない顔で私を睨んでいた。...何故、私の姿をがわかる?何故、見つけられた?
そんな疑問が頭に浮かんだが、今それは考えるべきことではない。そう思い、一般人のふりをしようと娘に向き直ろうとすると__そいつの顔を見た瞬間、心臓が揺さぶられるような感覚に陥った。
血が煮えたぎり、全身が渇きを潤したいと叫ぶ。鼓動が激しくなり、心臓の音が煩い。一瞬で頭がそいつのことしか考えられなくなる。___その鬼狩りの娘を、私が欲しがっている。そのことにすぐに気づいた。
なんだ、これは。私は、鬼舞辻無惨だ。何十年、何百年生きていると思っている?人間の娘など、赤子のようなもの。この私が___たかが人間の娘1人にここまで感情を揺さぶられるか。
そこまで考えて、気づく。
この感情は____“私のものではない”ということに。
この燃えたぎるような激情は、私が抱いたものではない。これは__“血の記憶”...?
......いや、今はそれはいい。私はおとうさんと呼んでくる哀れな餓鬼に微笑んで仮面をつける。...ひとまず、身を隠そうか。
通りすがりの人間に素早く自分の血を取り込ませて騒ぎを起こす。その鬼狩りの娘が顔を真っ青にして駆け寄ろうとする。
私はその様子を一瞥すると餓鬼と女を連れてその場を離れようとした。するとその娘は私の名前を大声で呼び、叫ぶ。
「 鬼舞辻無惨!!私はお前を逃がさない!!
地獄の果てまで追いかけて、必ず頸をとる!!絶対にお前を、許さない!! 」
そう叫んだ娘の被り物はとれていた。そのおかげで、隠れていたものが見える。
あの、耳飾りは___。
私は娘の顔を頭に刻みつける。
誰のものかわからない血の記憶と、あの耳飾り。とるべき処置がある。
私は騒ぎの中心から離れていった。
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作者名:あるみかん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=48be83eaada675e79ed496ea5cdf8f4f...
作成日時:2019年8月8日 19時