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__七日後、早朝。
「 お帰りなさいませ 」
「 おめでとうございます。ご無事で何よりです 」
七日前の双子がそう告げた。その言葉を聞けたのは、たった四人だった。
えっ、たったの四人?二十人くらいいたはずなのに。私が異形の鬼と戦っている間に消えてしまったあの人もいない...。
私があのとき気絶なんてしたから...助けられなかった。私は悔しくて目線を落とす。
「 死ぬわ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。ここで生き残っても結局死ぬわ俺 」
「 で?おれはこれからどうすりゃいい。刀は? 」
金髪の少年がブツブツと何かを呟く一方で、顔に傷のある少年がそう問う。
「 先ずは隊服を支給させていただきます。体の寸法を測り、その後は階級を刻ませていただきます 」
「 階級は十段階ございます。
甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸。
今現在、皆様は1番下の癸でございます 」
「 刀は? 」
「 本日中に玉鋼を選んで頂き、刀が出来上がるまで十日から十五日となります 」
やたらあの人、刀に拘るなぁ。そんなに鬼殺隊の刀を求めているのは、鬼と早く戦いたいだからだろうか。
「 さらに今からは鎹鴉をつけさせていただきます 」
パンパン、と白い女の子が手を叩く。すると、どこからともなく鴉が飛んできて、そのうちの一羽が私の肩にとまった。
えっ、かわいい。
「 鎹鴉は主に連絡用の鴉でございます 」
黒い羽毛を触る。えっ、かわいい。
そのとき、バシッ、と何かを叩くような音が響いた。
「 ギャアッ!! 」
「 !! 」
見ると、さっきのやたら刀に拘っていた少年が鴉を払いのけているところだった。動物になんてことを...。
「 どうでもいいんだよ、鴉なんて!! 」
そう言いながら、白い女の子の髪を乱暴に掴み、引っ張って怒鳴った。
「 刀だよ刀!!今すぐ刀をよこせ!!
鬼殺隊の刀!!“色変わりの刀”!! 」
私はそれを見て、咄嗟に体が動いた。
ぱちん、と乾いた音が響く。私は女の子の髪を掴むその人の手を払いのけると、女の子を背中に隠した。
そして、キッと睨みつける。
「 何考えてるの!!
小さい子供じゃないんだから、思い通りにならないからって怒鳴り散らして乱暴する言い訳にはならないでしょ!! 」
「 ああ?なんだテメェは!!
一丁前に説教してんじゃねぇよ!! 」
ばっ、とその少年は私に向かって拳を振り上げる。反射的に私は目を瞑った。
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作者名:あるみかん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=48be83eaada675e79ed496ea5cdf8f4f...
作成日時:2019年8月8日 19時