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「 狐の女。今は、明治何年だ 」
突然、そんな質問をしてきた異形の鬼。私は少し戸惑いながらも、答えた。
「 今は、大正時代だよ 」
その言葉を聞いた瞬間、鬼は奇声を発して叫び始めた。
「 アァアアア!!年号がァ!!年号が変わっている!! 」
びくり、とその声に私は肩を揺らした。なんなんだ、と思いながらも後ろの彼に手が出せないようにしっかりと警戒する。
「 まただ!また!!
俺がこんなところに閉じ込められている間に!
アァアアァ!!許さん許さんんんんっ!!
鱗滝め鱗滝め鱗滝め鱗滝め!! 」
鱗滝？どうして、鱗滝さんの名前を、この鬼がしっている？
「 どうして、鱗滝さんを...？ 」
「 知ってるさァ!!俺を捕まえたのは鱗滝だからなァ、忘れもしない四十七年前! 」
その鬼は、江戸時代、鱗滝が鬼狩りをしていたときに捕まえられたという。
そんな、昔からここにいるの？
私の後ろにいる少年が嘘だ、と叫んだ。
「 人間を2、3人喰った鬼しか入れてないんだ!!選別で斬られるのと、鬼は共喰いするからそれで... 」
「 でも俺はずっと生き残ってる。藤の花の牢獄で、五十人は喰ったなぁ、ガキ共を 」
五十人!?
鱗滝さんが言っていた、基本的に鬼の強さは人を喰った数だと。
この鬼は、強い。
「 十二...十三、でお前で十四だ 」
「 !?なんの話？ 」
「 ＿俺が喰った鱗滝の弟子の数だよ。アイツの弟子はみんな殺してやるって決めてるんだ 」
クスクスと笑って、そう言った鬼。すっ、と体が冷えていく。
そんな私に構いもせず、鬼は続けた。
「 特に印象に残ってるのは二人だな。あの二人。
珍しい毛色のガキだったな、一番強かった。宍色の髪をしてた、口に傷がある。
もう一人は花柄の着物で女のガキだった。小さいし力もなかったが、すばしっこかった 」
鬼が言った、その二人の特徴。私はそれに、酷く覚えがあった。
錆兎と、真菰。あの二人に、一致していたのだ。
この鬼に殺されていた？でも私は二人と__
その鬼はまだ続ける。
厄除の面が、鱗滝さんの弟子を見分ける目印だと。鱗滝さんが殺したようなものだと、言った。
自分の息遣いが荒くなっていくのがわかる。二人が殺されていたことへと動揺、そして怒り。
「 これを言った時、女のガキは泣いて怒ってたなァ!
その後すぐ動きがガタガタになったからな、手足を引きちぎってそれから、 」
鬼の言葉は最後まで続かなかった。
＿許さない、絶対に!!
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作者名：あるみかん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=48be83eaada675e79ed496ea5cdf8f4f...
作成日時：2019年8月8日 19時
