山ほどの手が ページ17
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私が勝てたのは、“隙の糸”の匂いがわかるようになったから。
それは、私の刃から相手の隙に繋がっていて、見えた瞬間ピンと張る。私の刃は強く引かれて隙を斬り込む。
「 _お前を最終選別に行かせるつもりはなかった。もう子供が死ぬのを見たくなかった。
あの岩は斬れないと思っていたのに... 」
鱗滝さんはそこまで言って、ぽん、と私の頭に手を乗せた。
「 よく、頑張った。
陽炭、お前は凄い子だ... 」
その言葉で、私は涙が溢れでた。私にはダメなのかと、何度も思った。でもその度に、寝たままの禰豆子や家族の顔が浮かんできて__なんとか、踏ん張ってきた。
それが全て、報われたような気がした。
「 “最終選別”、必ず生きて戻れ。
儂も妹も、此処で待っている 」
ぎゅ、と鱗滝さんは私を抱きしめた。
あぁ、あったかい。
亡き父と重ねて、少し涙ぐんでしまった。
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髪を綺麗に切り揃えてもらった後、お面をくれた。
厄除の面といって、悪いことから守ってくれるそうだ。
そして、禰豆子は鱗滝さんに預かってもらう。絶対に生きて戻ってくるんだと、眠り続ける禰豆子に誓った。
「 鱗滝さん、行ってきます!
錆兎と真菰によろしく!! 」
私は鱗滝さんにそう言うと、山を駆け下りていった。
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作者名:あるみかん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=48be83eaada675e79ed496ea5cdf8f4f...
作成日時:2019年8月8日 19時