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……でもそのままだとゲームは始まらないので私はとりあえずポーンを動かした。
そして研磨もさっき、私がクロ先輩とやったときみたいにポーンを動かした。
次に私はまたポーンを動かす。
このポーンはビショップの斜め前、つまりはナイトの前のポーンだ。
実はこれ、ポーンを前に出すのが目的ではなく、
ビショップを出すのが目的だったりする。
「……」
「……」
そうやって二人で黙々とチェスをした。
なんでだろう、いつもちょっと苦手な沈黙もこうやってゲームをしてると全然苦じゃない。
あと研磨が肩がくっつきそうなほどすぐ近くに居るのに緊張しない。
いつもならいろいろ慌てて物とかおとしちゃうんだけどな。
……不思議だ。
まあ頭使ってるからなのかなー。
そう考えた。
そして研磨が駒を動かそうとした時、研磨の肩と私の肩がぶつかった。
「!ごめっ」
「あ、ごめん……」
そう短く謝って私は次に何の駒を動かそうと考えていると見せかけるように
窓の外の方に顔を向けた。
……いやだって恥ずかしいし。
スキンシップとかする派の人ではないのでこういう事にいちいち敏感なのだ。
中学の時も同じようなことがあって友達にさんざんからかわれた揚句、
そのせいで好きな人が学年中に広まった覚えがある。
ホントにあの時は泣きたくなった。
ていうか泣いた。
「……次、Aの番だよ?」
思い出したくもなかった思い出からいきなり現実に引き戻される。
どうやら研磨は私が別のことを考えていると思ったらしい。
私の作戦……大失敗。
やはり鋭い。
「ごめん。ちょっとボーっとしてた」
私は慌てて駒を動かした。
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桔梗(プロフ) - サカノメさん» 好みで面白い!良かったです^^有難うございます!!宜しくお願い致します……。 (2015年1月6日 2時) (レス) id: 647d957ad5 (このIDを非表示/違反報告)
サカノメ(プロフ) - この小説!夢主ちゃんの性格と、作者さんの書き方、すごく好みでとても面白いです!これからも更新頑張ってください!!! (2015年1月6日 0時) (レス) id: 92792ceb06 (このIDを非表示/違反報告)
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