similar 49 ページ9
「……」
そして今は1時5分。
一つの教室の中2年全員が集まってうつむいている。
1時3分ごろにこの教室に皆集まり、その後2分ぐらいこうなのだ。
沈黙が耳に痛い。
ほとんど音がしないと耳が聞こえなくなっちゃった気がして頭がわんわんとする。
私はそんなことを思いながら詩乃と美菜の方をちらりと見た。
詩乃はいつ言えばいいか、とタイミングを考えているようで、
美菜はだるい、とでもいいたげな顔をして、皆よりさらにうつむいている。
あーあ、これいつまで続くんだろうなあ、と他人事のように思いながら
机の下にある手を軽く動かした。
そして何分たったかわからないがやっと詩乃が口を開いた。
こういうときほど、一瞬が無駄に長く感じられるものである。
「ねえ、私に思っていることがあるなら言って？」
静かな静かな声。
皆の視線が詩乃に向き、そのあと美菜に向いた。
そして詩乃も美菜を見ている。
「……なんで私を見るの？」
その視線を鬱陶しそうにしながら不満そうな声を上げる。
その言葉に詩乃以外の皆はパッと視線を机に戻した。
「別に美菜を見てたわけじゃないよ」
そんなことを気にしないといった体ではっきりと詩乃は言った。
「見てたじゃん」
それにさっきと同じような声で言う美菜。
「そんなに、怒んないでよ」
「怒ってないし」
あー。始まった。口喧嘩が。
私は机を見ながらそう思い、そっと誰にも気づかれぬように嘆息した。
きっと皆もそう思っていることだろう。
もうこれじゃ今までと同じじゃん。
このままこれをつづけられたら皆にはたまらない。
だから私は止めに入る。
「ちょっとストップ〜。
詩乃に質問。
今やっているこれは何をするためのものですか？」
私がそう言えば
「……団結力を深めるための、もの、です」
と詩乃は少しの沈黙の後言った。
そしてだまりこくってしまった。
まあ、でもいい方向にはいったはず、だよね？
そう思って隣に座っている夏帆に笑顔を向けたら睨まれた。
何故だ。解せぬ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 85人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桔梗(プロフ) - ひなさん» そうなんですか？！羨ましい限りです。私は苦手なので……。コメント、閲覧、ありがとうございます！ (2015年1月17日 18時) (
レス) id: 647d957ad5 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - いきなりですが、私数学大好きです。 (2015年1月16日 18時) (レス) id: 2ff5a51f5c (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - 猫パンチさん» 有難うございます！孤独なお姫様の方にもコメントして下さった方ですよね？！本当にありがとうございます！頑張ります！ (2015年1月11日 16時) (レス) id: 647d957ad5 (このIDを非表示/違反報告)
猫パンチ(プロフ) - 面白かったです！読んでいて「あー私もこーゆー時あったなー！」ていうところがありました…更新頑張って下さい！たのしみにしています！！ (2015年1月1日 3時) (レス) id: 668164180b (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - ポテトコーンさん» コメント有難う御座います！面白く思っていただけて嬉しいです。実はこの作品、結構私の実体験も入っているんですよ…(笑)更新頑張ります！ (2014年11月23日 0時) (レス) id: 647d957ad5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
