天使の誘惑(∞) (ページ6)

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紫先生ページ6

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｢信ちゃん今回の小テスト範囲広すぎやねん。
なぁ？答え教えて？｣

｢アホか！勉強せぇ！
それと学校では村上先生や！｣

クラス全員分の課題ノートを運ぶのを誰か手伝ってくれ言うたら真っ先に手を挙げたこいつ、

実は幼なじみやねん。

教師1年目の勤務先は母校やった。

ここには今年の離れた幼なじみのAとたつと丸が生徒としておる。

昔から何かあれば3人の面倒は俺が見てきた。

特にAは1人だけ女ってこともあって何かと気にかけとった。

他の生徒には俺達が幼なじみやってことは内緒にしてんねん。

せやのにいつもの調子でくっついてくるから、すれ違った女子生徒がコソコソ話しとる。

｢また大倉さん媚び売ってる｣

｢今度は村上先生？やだー｣

｢ほんまに色んな人取っかえ引っ変えしてるんやね｣

俺にも聞こえとったから、さすがにAも聞いとったはず。

Aのよろしくない噂は、この学校に赴任してからすぐに耳に入った。

相当きついこと言われてるのに、当の本人は全然気にしとらん様子や。

｢A、大丈夫か？｣

｢なにが？
あーさっきの？全然気にしとらんよ。
わかってる人だけわかってくれてればええもん。
それに私実際モテるからなぁ～
僻んでるんとちゃう？｣

そう言ってまるで天使みたいにキラキラした笑顔を見せるA。

Aは強いなぁ、いや強く見せてるだけか。

いつか壊れてしまわんか心配やねん。

あの日からAは人前で泣かんようになった。

多分弱みを見せたら全部崩れ落ちてしまいそうなんを必死に堪えてるんやと思うわ。

せやから自分からこんな嫌われ役買って出てるんやないか。

今は見守るくらいしか出来ひん。

情けないなぁ。