赤くんの勇気 ページ29
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Aが錦戸と一緒に帰った日から、あいつは屋上には来なくなった。
俺の胸のざわつきは収まらへん。
嫌な予感がするのは確か。
せやからってわざわざ教室に行って聞く勇気もなく。
Aと顔を合わせる気にもなれず。
1度も教室へ足を運ぶことも無いまま1週間以上経っていた。
廊下ですれ違った担任が話しかけてくる。
｢渋谷、そろそろ授業出てこないと内申にだいぶ響くぞ｣
適当にやり過ごして、また屋上に向かう。
今日は一段と天気がいい。
風も気持ちええな。
夏がもうすぐそこまでやって来ている。
たしかこの学校は夏に学園祭あるんやったっけ？
まぁサボり常習犯の俺からしたら学園祭なんて関係あらへんのやけどな。
バッグを枕にして空を仰いだ。
雲ひとつない真っ青な空。
Aはもう来おへんのかな？
この学校に来てからAの存在に助けられた。
強引なやつやけど、いつも俺を引っ張ってくれた。
入るつもりもなかった部活に入ることになったし、授業やって少しは出るようになった。
転校してからAとこんなに長い間顔を合わさへんことなんてなかったから、少し寂しいな。
いや、少し所やない。
めっちゃ寂しい。
この寂しさが何を意味するんかはもうわかっとる。
俺はAのことが好きや。
もう自分の気持ちに気づかんフリはやめや。
せやけど気持ちを伝える勇気なんてあらへん。
俺はただ、Aとまた屋上で過ごしたり、そばにおりたいだけや。
他には何も望まへん…はずやのに。
誰かに取られそうになる度に胸のざわつきが大きくなる。
ほっとけへん。
スマホを取りだし、Aにメッセージを送った。
｢放課後時間くれ。｣
続く (更新停止中)
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作者名：神八爽蘭
| 作成日時：2020年2月28日 18時
